大の「G党」として知られる塙宣之(41)と、新米G党の土屋伸之(41)。現在、各方面で話題の『プロ野球 そこそこ昔ばなし』(Amazonプライム・ビデオ)のMCを務める2人が、2019年の球界を、寄り道しまくりながら(笑)、振り返ります。

土屋「今年のプロ野球はね、なんといっても、我々が応援するジャイアンツが、5年ぶりにリーグ優勝ということでね」

塙「そうそう。ところで、土屋君って巨人ファンだっけ?」

土屋「東京ドームの近所に引っ越ししましてね、今年から巨人ファンです。って、あなた知ってるでしょ?」

塙「やっぱり、丸(佳浩)の補強が大きかった。坂本(勇人)があれだけバカスカ打てたのも、後ろに丸が控えてたのが大きかったと思うんですよ」

土屋「ホームラン40本でMVPですからね、坂本は」

塙「じつはね、開幕前まで広島の4連覇は堅いんじゃないかと思ってたんですよ」

土屋「丸の抜けた穴は、それほど大きかったと」

塙「広島にとってはね。カープファンのチューリップの徳井(義実)君も、ショックを受けたんだと思うよ。最近あんまり見ないから」

土屋「それはカープと関係ないんじゃないかな。あと、『チューリップ』っていうのは、個人事務所の名前だからね。チュートリアルね」

 日本シリーズは、巨人がソフトバンクに4連敗してあっけなく終了。7年連続でパ・リーグ球団が日本一に。

塙「それにしても悔しかったのは、日本シリーズですよ。まさかの4連敗だもん。

 僕ね、第4戦を東京ドームに観に行ってたんですよ。力の差は明らかで、『どうやっても勝てない』と思っちゃった。もうね、芸歴1、2年の若手が、ロバート秋山と大喜利やってるようなもんだから」

土屋「パ・リーグは、全体的に強いですよね。交流戦もずっと勝ち越してるわけだし」

塙「DH制の影響もあるといわれてますけど、スタイルが違うんですよ。パ・リーグは豪快なイメージがあるけど、じつはメジャー流のデータ分析なんかも取り入れて、すごく緻密なこともやってたりね」

土屋「それに比べて、セ・リーグはオールドスタイル」

塙「お笑いでいえば、『昔すごく人気があった芸人が、だんだん年を取って、新ネタも作らなくなって、もうテレビの司会しかやらない』みたいな……」

土屋「う〜ん、誰のことかわかんないけど、危なそうだから、やめときましょうか」

塙「パ・リーグって、球が速い投手が多いでしょ。『打者もそれに合わせてレベルが上がった』っていう話があるんですよ。わかりやすく言うと、うまいツッコミをスカウトすることによって、ボケのクオリティもだんだん上がってくる」

土屋「そうね。わかりやすいかどうか、わかんないけど。でも、いいピッチャーはドラフトで、ことごとくパ・リーグに行ってるのは確かですよね。今年もロッテが佐々木(朗希、岩手・大船渡高)投手を引き当てましたけど」

塙「松坂(大輔)からダルビッシュ(有)から、マー君も大谷(翔平)も。そう考えたら、パ・リーグは運がいいだけだな」

土屋「ずいぶん荒っぽい結論ですけど。それはそうと、今シーズンはヤクルトの連敗というのがありました」

塙「『16回連続でスベる』って考えるとつらいよね。芸人やめたくなるくらい」

土屋「ヤクルトは芸人じゃないけどね。我々だって、昔はそうだったよ。昼は浅草の東洋館で、高齢者にウケなくてスベって、夜は若い人向けのライブに行ったら『浅草くさい』とか言われて、若い女のコも笑ってくれない。16連敗ぐらいしてましたよ」

塙「芸人でも、1回スベっちゃうともう怖くなって、安パイなボケしか言えなくなっちゃうことってあるから。あれだけ連敗するってことは、チームに “型” がないんだよ。

 相撲にしても、今年、五月場所で優勝して、年間最多勝も獲った朝乃山なんかは、右四つの “型” を身につけて、あれだけの星を挙げられたんだから」

土屋「ちょっと塙さん、野球がテーマですから。パ・リーグは西武が2年連続Vでした」

塙「打線が、12球団でも最強」

土屋「山川(穂高)が本塁打王、中村(剛也)が打点王、森(友哉)が首位打者。秋山(翔吾)が最多安打で、金子(侑司)が盗塁王。まあすごいね」

塙「なかでも、MVPの森なんだけどね、大阪桐蔭の監督が『いちばんの天才』って言ってるくらいだから」

土屋「大阪桐蔭って、中田翔とか、おかわり中村とか、そうそうたるバッターがいるけど」

塙「170cmしかないんだけど、『自分のポイントに球が来たら必ず打てる』と。メジャーでいったら、アストロズのアルトゥーベみたいな選手だ」

ドラフト会見での、大船渡高・佐々木投手

土屋「ほかに今年印象に残った選手っています?」

塙「オリックスの山本由伸だよね。あのピッチャーは、えげつない球投げるよ」

土屋「最優秀防御率のタイトルも獲ってね。でも、今年は8勝しかしてないんですよ」

塙「オリックスは、吉田(正尚)しか打てなかったからね(笑)」

土屋「オリックスつながりでいえば、今年はイチロー選手の引退も話題になりました」。

塙「イチローは50歳まで現役やるんじゃないかと、本気で思ってましたけどね」

土屋「45歳でも、十分すごいと思いますよ」

塙「できれば、もうひとつの進化を見たかったんですよ。高校からプロ、アベレージヒッターからホームランも打てるようになって、メジャーにも対応して。

『できれば、最後はピッチャーやってる姿を見たかった』と、思ってたら、この前ピッチャーやってたね」

土屋「草野球でね。16奪三振で、『打っても猛打賞』ってね」

塙「芸人の世界でいえば、さんまさんみたいな存在。いや、さんまさんは、長嶋(茂雄)さんか。じゃあ、キングコングか」

土屋「キングコングじゃないでしょ(笑)。ダウンタウンさんとかじゃないの」

塙「土井(正三)監督に振り子打法が認められなかったのも、ダウンタウンさんが横山やすし師匠に『チンピラの漫才やな』と言われたようにね」

土屋「じゃあ、仰木(彬)監督が、大崎(洋)会長だ」

塙「10月には金田正一さんが亡くなられた。伝説が多い金田さんだけど、張本(勲)さんは『間違いなく170km出てた』って雑誌に書いてた。ノムさんは『150km』って書いてたけど」

土屋「どっちが正しいの?」

塙「もちろん張本さんだよ。3000本安打だよ。張本さんは今まで、噓ついたことないから」

 2016年に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けた清原和博氏が11月17日、沖縄・浦添市内でおこなわれた野球イベントで、約3年半ぶりにユニホーム姿を披露した。

土屋「レジェンド関連だと、清原さんの久々のユニホーム姿が話題になったね」

塙「ぜひ、球界にも復帰してほしいよね。でも、いま思えばね、『清原さんは巨人に来たのが間違いだったんじゃないか』と思うんですよ」

土屋「え、どういうこと?」

塙「巨人じゃなくて、ヤクルトに行くべきだったんですよ。『ヤク・ルート』ですから」

土屋「おい、ヤクルトに怒られるぞ!」

はなわのぶゆき
41歳 千葉県出身 佐賀県育ち 『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社新書)が発売中  

つちやのぶゆき
41歳 千葉県出身 相方の塙は、大学の落語研究会の、ひとつ先輩。物腰の柔らかいツッコミが、幅広い世代から支持される

企画・モラモラプレス

※『プロ野球 そこそこ昔ばなし』は、Amazonプライム・ビデオにて、毎週金曜0時に配信。MC:ナイツ、進行:吉田明世、レギュラーゲスト:金村義明

(週刊FLASH 2019年12月24日号)