by ValiGreceanu

プライベートジェットを所有することは超富裕層や一流経営者のステータスともみなされており、ウォーレン・バフェット氏やビル・ゲイツ氏もプライベートジェットを所有していることが知られています。そんなプライベートジェットを所有することのメリットや、購入時に考えるべきポイントについて、ビジネス・金融関連メディアのWorthが解説しています。

How to Buy a Private Jet - Worth

https://www.worth.com/how-to-buy-a-private-jet/

ゲイツ氏が初めてプライベートジェットを購入したのは1998年のことであり、自身がプライベートジェットを所有することについて「最も高価で罪深き愉しみ」と述べています。プライベートジェットの所有は超富裕層や有名人、浪費家のステータスともみなされがちな一方で、Uberのようにプライベートジェットをチャーター可能なサービスのVictorやTradewind Aviationの成長などもあり、プライベートジェットの存在自体はより一般的なものになりつつあるとのこと。たとえば、マルタに本拠を置いて高級ジェットチャーターを展開するVistaJetは、2018年にプライベートジェットを利用した人の平均年齢は38歳であると報告しました。

しかし、「プライベートジェットで飛行することと、実際に自分のプライベートジェットを所有することは全く違います」とWorthは指摘。プライベートジェットを予約して使用することのハードルは下がりつつありますが、プライベートジェットを所有するにはケタ外れの富裕層である必要があるといえます。



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ネバダ州に本拠を置くDuncan Aviationは、企業の経営者などが移動に使用するプライベートジェット(ビジネスジェット)の販売をサポートする企業です。Duncan Aviationの航空機販売担当副社長であるSteve Gade氏は、「ビジネスジェットはまさにタイムマシンです」と述べ、ビジネスジェットの本質的なメリットが移動時間の短縮にあると主張します。

一般的な旅客機であれば予定の便が飛び立つのをターミナルで待ち、離着陸の際に手続きを行う必要があるほか、着陸後には自分の荷物が出てくるのを待ち構える必要もあります。こうした細々とした時間のロスは、合計すると片道あたり2時間にも上るとのこと。「ビジネスジェットの所有はビジネスの効率化を促し、新規顧客や見込み客へのアプローチ、企業幹部たちの移動などに役立ちます」と、Gade氏は述べました。

一般的にプライベートジェットはぜいたくの象徴と見なされがちですが、ほとんどのプライベートジェット関連企業は、売り込みの際に時間の短縮をメリットとして掲げています。業界団体のNational Business Aviation Associationが2017年にS&P 500企業を対象として行った調査では、プライベートジェットを導入した企業と導入していない企業との間には、ビジネス上のパフォーマンスの質に違いがみられたとのこと。 VistaJetの創設者であるThomas Flohr氏は、「世界中のどこにいてもすぐに飛行機にアクセスできることは、ビジネス上の大きなメリットがあります。普通の旅客機を使わないことで、意志決定者の時間を節約することが可能です」とコメントしています。

Worthはプライベートジェット業界が主張するこれらのメリットについて、「要するに『時は金なり』ということです。結局のところ、航空業界は離着陸の予定時刻から飛行時間、メンテナンスに要する時間など、あらゆる面が時間によって管理される業界です」と指摘。所有するコストよりも時間の節約が重要だとみなす顧客にとって、プライベートジェットの所有はぜいたく以上の価値があるといえると述べました。



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プライベートジェットの所有には膨大な予算が必要ですが、所有者の目的やニーズによってかなりの差が出るのも事実。旅行の詳細を表す「ミッション」という用語は、移動距離・運航時間・乗客数・フライト区間・貨物量・客室サイズといった変数を表していますが、ミッションの内訳が飛行機そのもののコスト、メンテナンスコストや燃料費、パイロットの給与といった固定費などに関わってきます。

たとえばゲイツ氏が所有するボンバルディア グローバル 5000はおよそ4100万ドル(約45億円)ですが、用途が違えば2200万ドル(約24億円)のエンブラエル プラエトル 600で十分というケースもあります。プライベートジェットの管理・販売を手がけるJet LinxのCEOであるJamie Walker氏は、「プライベートジェットの所有に伴って必要な年間の運用コストは、小さいジェット機なら50万ドル(約5500万円)、大きいものになると数百万ドル(数億円)ほどです」とコメント。

年間の運用コストは運行回数によって燃料費やメンテナンス費の変動がありますが、一般的には機体価格の5〜10%ほどがかかるとのこと。この中にはパイロットの給与や社会保障、格納庫の料金、飛行機にかける保険なども含まれています。

また、プライベートジェットを中古で買うのか新品で買うのかでも違いがあります。中古の飛行機は初期費用を大幅に節約できる上に、メンテナンスや改修が義務づけられているために安全性は新品と変わらないとのこと。その一方、新品の飛行機は保証期間中のメンテナンスが少なくて済み、メーカーとの直接的なコネクションを持ち、最新機能にアクセスしやすいという利点があるそうです。



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近年ではプライベートジェットの所有が広まりを見せているとはいえ、やはりプライベートジェットを所有できるのは一部の超富裕層に限られます。また、プライベートジェットを所有するということは、飛行機のメンテナンスやスタッフの管理を自分たちで行う必要があるため、非常に手間であるというデメリットもあるとのこと。

そこで、プライベートジェットの所有権を分割し、複数人が「プライベートジェットの稼働シェアを購入する」というシステムも生まれています。カナダのトロントに本拠を置くAirSprintでは、飛行機が年間800時間稼働するという仮定に基づいて、50時間以下のシェアを複数の人々で分割して所有するシステムを構築しています。このシステムの利点としては、飛行機の所有にかかる基本的なコストが削減できることや、1機がメンテナンス中でもAirSprintが所有する別の機体を使用できるため、「プライベートジェットがメンテナンス中で飛び立つことができない」という事態を避けられる点があるそうです。

こうしたオプションは1時間あたりの飛行につき数千ドル(数十万円)の費用に加え、年間数万ドル(数百万円)の固定費やフライトごとの料金を支払う方式がほとんどです。実際にプライベートジェットを所有するよりは安くすむため、プライベートな旅行を楽しみたい多くの人にとって、比較的手を出しやすい解決策といえるかもしれないとWorthは述べました。



by Jason Toevs