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男性から髪を触られることについて、女性はどう思っているのだろうか。

11月12日放送の「指原莉乃&ブラマヨの恋するサイテー男総選挙」(AbemaTV)では、男性が、女性の機嫌をとろうとして、髪の毛を撫でることについて、指原莉乃さんが、「嫌ですね。例えばポニーテールとか編み込んである髪型の時に触られたら『何コレ』って思います」と苛立ちを見せた。

男性が、女性に対して謝罪の際に触ることについても、「なんで『ごめんな』の時に触るの?って感じです」と不満げだった。

このようなことは、職場でも起きることがあるが、セクハラになる可能性はあるのだろうか。森田梨沙弁護士に聞いた。

●髪を触る行為は「環境型セクハラ」に該当する可能性も

「『セクハラ』という言葉は普段耳にすることも多いですが、その概念は多義的で、刑事罰が科されるような違法性の強いものから、モラル違反としてのセクハラまで、様々です」

男性社員が謝罪の際に女性社員の髪を触った場合、懲戒処分を受ける可能性があるのか。

「男女雇用機会均等法11条の定めが参考になります。この条文では、事業主が防止措置を講ずべきセクハラとして、以下の2種類を挙げています。

(1)職場において行われる性的な言動に対するその労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受ける場合(対価型セクハラ

(2)性的な言動により当該労働者の就業環境が害される場合(環境型セクハラ

髪を触る行為は、『環境型セクハラ』に該当する可能性があります。

そして、一般的には、意に反する身体的接触によって、労働者が強い精神的苦痛を被る場合には、身体接触が1回だけであっても、就業環境が害されていると判断される可能性があります。

他方、セクハラの内容がそこまで強度のものではない場合、行為の継続性または繰り返しが判断の要件となりますが、『明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態』または『心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合』には、就業環境が害されていると判断されるでしょう。

なお、性的な言動や行為に対してどう感じるかは男女間で差異があるため、被害を受けた労働者が女性である場合には『平均的な女性労働者の感じ方』を基準とすることが適切だと考えられています」

●明確に抗議されたのに繰り返すと懲戒処分の可能性あり

もし男性上司が女性部下の機嫌を取ろうとしたり、謝罪しようとしたりして、髪を撫でた場合、就業環境を害する行為と言えるのか。

「女性部下の髪を撫でることについて、『平均的な女性労働者の感じ方』を基準に判断した場合、1回で強い精神的苦痛を被るほどの身体的接触であるとまでは言い難いと思われます。

ただ、女性部下から明確に抗議されたにもかかわらず繰り返したような場合には、懲戒処分を受ける可能性が出てくると言えるでしょう。

職場における不必要な身体への接触はトラブルの元です。セクハラは男女の認識の違いにより発生している面があることを十分理解した上で、気を付けて対応する必要があります」

【取材協力弁護士】
森田 梨沙(もりた・りさ)弁護士
中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はゴルフと漫画。
事務所名:共進総合法律事務所
事務所URL:http://www.kyoshin-law.com/index.html