村田実果子 撮影/荻原大志

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黒を基調とした衣装と、ダークな世界観で女性ファンも多いグループ、BLACKNAZARENE(ブラックナザレ)。メンバーの村田実果子はギャル系の読者モデルからメイド喫茶を経てアイドルになった異色の経歴の持ち主。アイドル活動を続ける一方、フォロワー数10万人超えの人気インスタグラマーとしての顔も持つ彼女に、アイドルを目指したきっかけを聞いた。

──小さい頃から芸能界に憧れはあったんですか?



村田 それほど憧れはなかったんですけど、小学生の頃から可愛い人を見たり、真似したりするのが好きだったんです。ませていたので小学生の頃から化粧をしていて、中学生になるとギャル雑誌を読むようになって、ウィッグを被って、つけまつげ付けて、カラコンもして(笑)。それを自撮りして、今で言うSNSみたいなものに載せていたら東京のギャル関係の事務所から連絡があって、中2で読者モデルをやるようになったんです。それでお仕事が入ると東京に行っていました。

──今の雰囲気からすると、ギャルの村田さんが想像つかないです。



村田 109の店員さんとかと比べたら、そこまでギャルではなかったですよ(笑)。でも、地元は田舎だったのでギャルがいなかったんですけど、読者モデルをしていると年上のギャルに可愛がってもらえて。一気に交友関係が増えたし、すごく楽しかったですね。

──今の感じになったのはいつ頃ですか?



村田 19歳ぐらいですね。染めたい髪色がなくなって、考えるのも面倒くさくなって黒髪にしたんです。髪が痛むのも嫌でしたしね。そのときにメイクも変わったんですけど、もともと服もギャル系ではなく、可愛いものが好きだったので根本は変わってないですね。小さい頃はセーラームーンになりたかったし、一貫してメルヘンっぽい非現実的なものが好きなんです。分かりやすく言うとティム・バートンの世界のような(笑)。

──分かるような、分からないような(笑)。先ほどSNSのお話が出ましたが、村田さんはインスタのフォロワー数が10万人以上いますが、昔から発信するのが好きだったんですか?



村田 そうですね。まだTwitterやインスタがない時代から、ブログやmixiをめちゃめちゃこだわってやっていました。写真も今みたいな機能はなかったけど、出来る限り彩度やコントラストなどを調整してましたね。非現実っぽい存在になりたい、画面越しだったらセーラームーンになれる、みたいな気持ちでやってました。それを見てファンになってくれる女の子もいましたね。

──モデル活動もしながら、どうしてアイドルになることになったんですか?



村田 ちょっと話は長くなるんですけど、もともと私は高校に通ってなかったんですよ。中学時代、学校自体はめちゃくちゃ好きだったんですけど、自転車通学途中の坂道が嫌で遅刻ばかりしていたんです。あと自転車のヘルメットを被っている姿を見られるのも嫌だったんですよ(笑)。あまりにも遅刻が多いから、先生に「留年するぞ」って脅されるぐらいだったんですけど、それを見ていた親に「どうせ高校に入っても辞めるんだから行かなくていい」と言われたんです。私自身、普通の職業には就かないと思っていたし、モデル的な活動もしていたので、どうにかなるだろうと思って高校受験すらしませんでした。

──高校に行かないで何をしていたんですか?



村田 まず家の近くにあるコンビニのバイト面接を受けたら落ちたんですよ。それで一気にやる気をなくしたのと、16歳まで働けないところが多かったので、11月1日の誕生日を迎えるまではお家でアニメの『銀魂』を死ぬほど観ていました(笑)。そんな生活を半年ぐらいして、たまたま見つけたメイド喫茶で16歳の誕生日の日から働き出しました。それからメイド喫茶で働きながら、モデルをやったり、ショップ店員をやったりしていたら、知り合いの男性から「仕事の話がしたい」ってDMが来たんですよ。話を聞いたら、「新しいメイド喫茶を作るから働いてくれないか。同時にアイドルグループも作るから、それにも入ってほしい」と。ただメイド喫茶はやりたいけど、アイドルは嫌だって最初は断ったんです。

──アイドルに抵抗があったんですか?



村田 いえ、むしろ「可愛い子が好き」の延長でアイドルも好きでした。ただ、好きなだけに私の性格やキャラ的にアイドルは向いてないだろうなって思ったんです。

──ちなみに、どんなアイドルが好きだったんですか?



村田 Berryz工房やBuono!などのハロプロ系です。それで、新しいメイド喫茶で働くことになったんですけど、ずっと「アイドルをやらないか」って誘われ続けていたんです。そしたらCAMOUFLAGE(名古屋で活動していたアイドルグループ)にいた香月って子が新しいアイドルグループに入ると聞いて、だったら入ってもいいかなと思ったんです。

──CAMOUFLAGEも好きだったんですか?



村田 あんまり地下アイドルのことは知らなかったんですけど、CAMOUFLAGEは働いていたメイド喫茶の会社が運営していたので知っていました。それで香月のことも知っていて、流れでアイドルを始めました。

──それが「(株)やみつきカンパニー」というアイドルグループですよね。



村田 そうです。“アイドル界のブラック企業”というコンセプトでした(笑)。メンバーは良い子ばかりだし、ライブも楽しかったんですけど、1年半ぐらいで大人の都合で解散することになり……。

──アイドル活動に心残りはあったんですか?



村田 もうアイドルはやらないと思っていたんですよ。そもそも、やみカンも1年で辞めようと思っていたんですけど、運営に頼まれて解散までいることになったんですよね。

──楽しかったのに、どうして辞めたかったんですか?



村田 私の性格上、1人で活動したほうが楽かなって思ったのと、東京に行きたかったんですよね。それで解散と共に上京して、前から面識のあった美月リカちゃん(ブラックナザレのプロデューサー)とよくゴハンを食べていたんです。当時、リカちゃんは「BABYTRACKS」というレーベルを立ち上げたばかり。私も上京してモデル活動を継続していたんですけど、モデルってファンと会う機会がないじゃないですか。私は喋るのが好きなので、またファンと直に接することのできる場が欲しいなと思って、だったらアイドルかなと。それでリカちゃんと一緒に何かやろうって話になって、BLACKNAZARENEを結成することになりました。

──メンバーはどうやって集めたんですか?



村田 最初に5人組にしようって話になって、私がやみカンで一緒に活動していた清乃希子を誘って、他の3人はリカちゃんが集めました。

──改めてアイドルグループをやってみてどうですか?



村田 運営がリカちゃん……女の子なのはやりやすいですね。それにブリブリのアイドルって訳じゃないので、そこも自分に合っているのかなって。

──BLACKNAZARENEは女性ファンが多いのも大きな特徴ですよね。



村田 確かにライブは女の子の方が多い印象ですね。チェキ会にしても「女の子としか撮ってないかも」って気付くことがありますからね(笑)。

──女性ファンを増やそうという狙いはあったんですか?



村田 それはなかったです。ただ男性ウケがあんまり良くないだろうなというのは分かっていました(笑)。

──今年3月26日に新宿BLAZEで開催したBLACKNAZARENE1周年記念ワンマン「奇祭」は大盛況だったそうですね。



村田 最初は「余裕じゃない?」くらいに軽く思っていたんですけど、1月の時点でチケットが半分も売れてなくてヤバい……ってなったんです。そこから全国を回って写メ会をやったんですよ。

──写メ会はどこでやったんですか?



村田 福岡、大阪、名古屋、宮城、東京、札幌ですね。

──場所はどうしたんですか?



村田 「この辺でやろう」って適当に決めました(笑)。SNSで告知して、全く知らない公園とかでやりましたからね。時期的にめちゃめちゃ寒くて大変でした。それがあってのワンマンだったので全国からファンが来てくれました。

──今後グループとして、個人として、それぞれの目標は何ですか?



村田 グループとしてはツアーをやりたいですね。特に写メ会で回ったところでワンマンを開催したい。個人としては今まで通り好きにやれればいいかな(笑)。

▽村田実果子(むらた・みかこ)


11月1日生まれ、愛知県出身。A型。来年2月18日にはBLACKNAZARENEとして1stミニアルバム『ADMIRATION』をリリースし、3月26日には恵比寿LIQUIDROOMにてBLACKNAZARENE2周年ワンマン"奇祭2"が開催される。
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