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酒田五法に底値確認形状です。

底値確認で、有名なのはダブルボトム、トリプルボトムなどが有名ですが、個人的には、この三兵(さんぺい)が一番的確に底値確認を示す形状と見ています。

それでは、実例を見ながらお話ししましょう。

これが、三兵の全容ですが、形状としては、女性のハイヒールを横から見たような格好です。

つまり、最初にグイッと踏込み、いったん戻して、長めの土踏まずを作り、そこからまた下げて、足の平の部分、つまり底値を形成し、そこから反発となります。

しかし、ここで深めの押しがあり、これが反発すれば一段高となります。

大きくは、下落を形成する、かかとから土踏まず、そして、再下落の時期と、底値から反発に移る転換期の二つの部分からなります。

このふたつの時期の折り返し点が、まさに平たい底値圏です。

もちろん、必ず底値を形成できるわけではなく、下落形成期が止まらず、さらに下げることもありますが、いったん反発して転換期に入ってくると底値形成反転の可能性が高まります。

例として挙げたポンド/円につきましても、さらに上昇の可能性はあると見ています。

但し、形勢には時間が掛かります。

このポンド/円の例にしても、2019年1月にかかとが出来、底値圏は8月、反転開始は9月です。

酒田五法のヘッド・アンド・ショルダー(大天井)にしても、1年に1回以上はないものとされるとされており、三兵も同様のスケールの大きさだと見てください。

しかし、今までの下落相場が、大転換をするのですから、それぐらいの時間が掛かってもしかるべしだと思います。

こういう時に、「タンカーは、簡単には曲がれない」という例えを思い出します。

相場が、一方向に大きく動いた相場であればあるほど、その後の相場の転換期には時間が掛かるものです。

それを、「タンカーは、簡単には曲がれない」と言っています。

つまり、タンカーという巨体が、方向転換をするためには、余程大きく曲がらないと曲がりきれません。しかも、曲がりきるためには、それ相応の時間が必要です。

それは、ダブルボトムも、トリプルボトムでも言えることではないかというご指摘はあるかもしれません。

しかし、決定的に違うのは、ダブルボトムやトリプルボトムの知名度が極めて高いのに対して、三兵の知名度は極めて低く、その分、素直に反応するということです。

ダブルボトムやトリプルボトムは、その知名度の高さ故に、多くのマーケット参加者が見ており、本来であれば、たとえばダブルトップのネックラインがブレイクすれば高さ分だけ落ちるとされますが、皆そのことを知っているためにショートにし、マーケットポジションは売り過ぎとなり、その後は、買戻しとなります。

ですから、最近有名チャートパターンで素直に動いているものは、ほとんどありません。

それに比べれば、三兵は、まだ知名度も低く、素直な動きを見せます。ただし、何事も絶対はありませんので、その点は注意が必要です。

私が、三兵に着目したのが、約15年ぐらい前です。

相場の下げから上げへの転換のきっかけを知るチャートは、ないものかと、実は最初に気づいたのは、実戦の場でした。

このパターンが出ると反発することが多いと気づきました。

そして、それは、酒田五法でもすでに示されていたことを知り、三兵という名を知るに至りました。

いずれ、広く知られていく宿命にはあると思いますが、この形状は、出来るだけ大事にしていきたいと思います。

○水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。