いまのJリーグに目を転じたとき、第3者の目に最も面白く映っているチームはどこだろうか。応援しているチーム以外で、目を惹くサッカーをしているのはどこなのか。

 横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は昨季、わずか2、3試合だが、守備的サッカーに転じたことがあった。攻撃的サッカーを掲げて監督に就任したものの、思うような成績が残せずにいた時だ。注目してみていたので、こちらは落胆した。しかし一瞬だった。志を貫き現在に至っている。

 横浜Fマリノスの現在の順位は3位ながら、1位鹿島(勝ち点56、得点51、失点25)2位FC東京(勝ち点56、得点41、失点24)との勝ち点差はわずかに1。昨季とは一転、優勝争いを演じている。得点54は上位3チームの中で最上位。一方で失点34も最上位だ。その特異性は数字にも顕著に表れている。

 そのサッカーは第3者であるこちらの目には、あるいは当事者のマリノスファンより好ましく映っている。サッカーの娯楽性の向上と普及発展を願い、あえてリスクの高いサッカーを標榜し、そして結果も出している。なかなかできることではない。その攻撃的サッカーの背景に潜む崇高な精神は、成績以上に評価されるべき。競馬的に言えば、自ら重い斤量を背負ってレースに臨んでいる格好だ。ヴィッセル神戸より断然、バルサ的であることは言うまでもない。