父の葬式に集まった“キレイな女性”たち。なぜかマウント合戦を始めて…
 親が亡くなった後、知らなかった親の顔を初めて目にすることがあります。21歳の時に父親を亡くしたT美さんも、そんな体験をしたそうです。

◆父親が急逝。お葬式の準備で悲しむ暇もなく…

「父が急に亡くなったのは、現役で会社勤めをしていた時なんです。当時の私はまだ大学生。専業主婦の母と専門学校生の妹は、立ち上がれないほど泣いてました。私は叔父と一緒に葬儀屋さんやお寺との話し合いをしていて、悲しみ以上に慌ただしさが先だっていましたけど……」

 T美さんの父はそれなりに大きな会社に勤めており、さらに現役での逝去とあってお通夜にはかなり多くの弔問客が駆け付けたそう。同時に営業職という仕事柄か、行きつけのスナックや居酒屋のママさんたちも数多く訪れていたとのことです。

 忙しく動いていたT美さんは、その時の状況を知る由もなかったのですが、後日、父の同僚たちから聞いたところ、通夜ぶるまいの席でちょっとした騒ぎがあったそうです。

◆お通夜で飲み屋のママたちがマウント合戦

「お店同士のマウント合戦というか……会社の人たちを囲みながら『うちに来た時の〇〇ちゃんはぁ〜』みたいなエピソード合戦を繰り広げていたそうです。もちろん、皆さんすごく父を客として愛してくださっていたからなんでしょうけど、それがヒートアップして『どの店を一番贔屓にしてたのか』を取り合うような感じになっちゃったみたいですね」

 しかし、マウント合戦はそれだけでは終わりませんでした。そこに、T美さんの父に長年片思いしていたという同期の同僚女性も加わり、さらなるカオス状態に。

「『そのお店なら私もいつも一緒に行かせてもらって〜』みたいな被せをしてきたようです(笑)。まるでデートで使ったとでも言いたいかのような感じ。実際は同期会なんかで相席していただけのようですが」

 その同僚女性は、最後のお別れの時にも自作の折り紙の花と想いを綴った和歌を棺に入れて欲しいと頼み込んできたとか。通夜ぶるまいでの一件を知らなかったT美さんは特に断わらなかったそうです。

「和歌を見る限り本当に彼女の片思いだったようです。それも本当に乙女のような純愛系。あとから彼女のマウント話も聞きましたが、なんか私の知らない父の人生を垣間見た気がして不思議な感覚になりました」

◆受付業務も取り合いに

 さらに通夜や葬儀の受付業務も「最後に所属していた部署」「入社時からの仲の良い同僚グループ」「学生時代の友人たち」どこが担当するかでモメたという話もあったとか。どうやらT美さんの父は、とにかく周りから愛されていたようですね。

「そうした父の人柄を知ることが出来たのは、まさに父が亡くなってからの話。改めて尊敬の念を抱いています。でも、出来れば生きているうちに知っておきたかったですね……」

 T美さん自身、父のように惜しまれ愛される社会人になるのが今の目標だそうです

―冠婚葬祭・式典のトンデモエピソード―

<文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。度を超したぽっちゃり体型がチャームポイント。