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最近、北朝鮮の“金王朝”が、独裁体制を維持することに焦りを募らせているように見える。

今回の米朝実務協議についても、その焦りが、北朝鮮が「協議は決裂」と発表したことにつながったようだ。

北朝鮮は窮状打開を目指して、米国にかなりの要求を行ったのだろう。

だた、米国はそれに応じなかった。その意味では、米国は北朝鮮の焦りを通して制裁の効果を確認したはずだ。

これは、南北統一を目指す韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって無視できない事態だろう。

これまで、文氏は積極的に北朝鮮との融和を進めようとしてきた。

しかし、北朝鮮の最大の関心が米国との直接対話であることが明確になってしまうと、同氏の登場の余地はあまりなくなる。

金正恩朝鮮労働党委員長は軍事挑発などを通して米国から譲歩を引き出したい。

2045年の朝鮮半島統一を夢見る文大統領が、北朝鮮問題で存在感を発揮することは難しくなりつつあるようだ。

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焦りを募らせている北朝鮮

足許、北朝鮮の金正恩委員長は、自国の置かれた状況にかなりの焦り、危機感を募らせていると考えられる。

世界食糧計画(WFP)によると、北朝鮮の農業生産高は過去10年間で最低水準に落ち込んでいる。国民の4割程度が十分な食料を手に入れられていないと報告されている。

これは、金委員長の独裁体制を揺るがしかねない事態だ。

すでに北朝鮮は漁業権を中国に売却して外貨獲得に動いてきた。

その上、食糧確保のために北朝鮮の水産業者は、旧式の船舶を用いてわが国やロシア近海にまで出漁せざるを得なくなっている。

米国など国際社会からの制裁は、着実に北朝鮮経済を締め上げていると考えられる。状況はかなり厳しい。

金委員長は、体制を維持するために国内の窮状を打開しなければならない。

そのためには、米トランプ大統領の顔を、自分のほうに向けさせることが欠かせない。北朝鮮は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射などに加えて、ICBM発射実験の再開示も示唆し、米国の関心を引こうと必死になっているとの見方もある。

その他、米朝関係には多様な指摘がある。

北朝鮮の経済状況をもとに考えると、焦れているのは北朝鮮の方ではないだろうか。

米国は更に北朝鮮が厳しい状況に陥る状況を待ち、有利に交渉を進めたい。

対して、北朝鮮はいち早く窮状を脱するために米国に譲歩してほしい。

ストックホルム実務協議において、この姿勢の違いが鮮明化したとみる。

重要性が低下する文大統領

この状況下、北朝鮮融和策を中心に韓国の文大統領の出番はさらに少なくなってしまったといえる。

文氏は、2045年に朝鮮半島を統一したい。

そのためには北朝鮮が韓国の方を向かなければならない。

しかし、金委員長は、直接、米国と交渉できる状況を手に入れた。文大統領が北朝鮮に呼び掛けても、金委員長は聞く耳すら持たなくなってしまった。

それに加え、対日政策でも文氏の戦略は間違った方向に向かっている。

実現の可否は別にして、韓国が朝鮮半島統一を目指すには資金面を中心にわが国の協力が必要となろう。

それを見込んで、文大統領は対日批判を行い、国際世論の賛同を得ようとしたと考えられる。

同氏には、国際世論が韓国に賛同すれば日本の世論も同調するとの目論見があったのだろう。

ただ、文大統領は日韓関係を戦後最悪にまで冷え込ませ、わが国の世論も敵に回してしまった。

それに加え、韓国国内でも法相任命によって保守派と左派の意見対立が激化している。

2年以内に米国経済が景気後退を迎えるとの警戒感を強める経済の専門家も増えている。

文大統領が経済を中心に社会の安定を目指すことは、追加的に難しくなる恐れがある。

左派政権の維持と半島統一を夢見る文氏の主張は勢いを失っていくと考えられる。

対照的に韓国の保守派は政権批判を強めるはずだ。

まだ、保守派と経済界が文政権への危機感を全面的に共有しているとは言いづらいが、徐々にその展開も鮮明化するだろう。

わが国はそうした変化をとらえて韓国との関係修復を模索し、極東地域の安定を目指せばよいだろう。