脳に損傷を負った女性をサポートする犬(画像は『Service Dog Colt 2019年2月25日付Instagram「Thankful for kisses. Does your dog give you kisses?」』のスクリーンショット)

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脳に損傷を負った飼い主の発作を探知して知らせる6歳の犬‟コルト(Colt)”は、冷蔵庫を開け、電気を消し、飼い主の日常生活をサポートする。「コルトなしの生活は考えられない」と語るアメリカに住む女性のニュースを『Metro』などが伝えた。

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米コロラド州コロラド・スプリングズ在住のジャネイ・カーンズさん(Janaye Kearns、26)は、2012年のボート事故により2週間ほど昏睡状態に陥り、医師から回復は見込めないと告げられた。しかし1年間の必死のリハビリにより、ジャネイさんは歩くことや話すこと、そして読み書きもできるようになった。

ジャネイさんが生後2か月のラブラドール・レトリバーとワイマラナーのミックス犬‟コルト”(現在6歳)を自宅に迎え入れたのは2013年のことだった。しかしやっと落ち着いてきた2014年、ジャネイさんは突然脳出血に見舞われ、身体の右半分が痺れ、慢性的な首や頭の痛み、低血糖などに悩まされるようになった。また頻繁にてんかんに似た発作を起こすようになり、急に倒れたり床に頭をぶつけたりすることが多くなった。

医師に介助犬のサポートを受けることを勧められたジャネイさんは専門家の指導のもと、愛犬コルトが自分の発作に対処できるように訓練を始めた。ジャネイさんはもともと警察犬などを訓練する仕事をしており、コルトは家の戸を開ける、エレベーターのボタンを押す、ゴミを拾う、洗濯物を洗濯機に入れる、冷蔵庫を開ける、電気を消すなどジャネイさんの日常生活のサポートもできるようになっていった。何よりもジャネイさん自身に笑顔が戻り、乗馬や水泳など新しいことにもチャレンジするようになったのだ。

そんなジャネイさんが一番頼りにしているのは、コルトの嗅覚だ。コルトはジャネイさんの微妙なニオイの変化を嗅ぎ取り、発作が起こる前に知らせる。また発作が起こってしまった時もそばにいて、ジャネイさんが頭を怪我したりしないように身体の下に潜り込むなどして対処する。発作を探知する‟アラート犬”として現在の確率は50%だそうだが、ジャネイさんはコルトに何度も助けられているという。

なお、YouTubeチャンネル『サービスドッグ・コルト(Service Dog Colt)』では、ジャネイさんと夫、義理の息子とコルトの日々の生活を見ることができ、コルトはこれまでにも何度かメディアに取り上げられてきた。

SNSでは「よくここまで訓練したね」「すごいね」「うちにもこんな犬が欲しい」とコルトを絶賛するコメントが寄せられている一方で、「乗馬ができるのになぜ犬にゴミを拾わせるの? ただの怠慢じゃないの」「健康そうに見えるけど」「YouTubeの視聴稼ぎじゃないの」といった心無いコメントもあるという。

ジャネイさんはそんなコメントに対し、次のように述べている。

「障がいを持っているかどうかは外見だけでは分からないでしょうね。良い時もあれば悪い時もあります。今日は調子が良くても、明日は発作を起こし気絶してしまうこともあるわけです。私の身体は100%回復することはありませんが、コルトがいてくれることで安心できます。私はコルトが私の緊急事態に備えてすぐに対処できるように、常に訓練をしています。私の命を守り、心の支えとなってくれているコルトのことをより多くの人に知ってもらいたいと思います。」

ちなみにコルトのようなアラート犬の中では、血糖値異常をニオイで感知する「糖尿病アラート犬」の実用化が進んでおり、多くの患者の心の拠り所となっている。

画像は『Service Dog Colt 2019年2月25日付Instagram「Thankful for kisses. Does your dog give you kisses?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)