名実ともにアメリカ映画を代表する俳優のひとりであるレオナルド・ディカプリオ。そんな彼が出演するおすすめ映画をまとめてご紹介。

レオナルド・ディカプリオ プロフィール

レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオは1974年11月11日、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。身長181cm。

イタリア系の父とドイツ人の母の間に生まれ、14歳の頃からTVCMやTVドラマへの主演を重ねる。1993年、映画『ボーイズ・ライフ』でロバート・デ・ニーロ演じる強権的な義父の息子役を演じ注目を集める。同年、『ギルバート・グレイプ』での障がいをもつ青年役の演技が高く評価され、19歳で第66回アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされた。

1996年、『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役では第47回ベルリン国際映画祭で見事銀熊賞(男優賞)に輝き知名度を上げ、さらに1997年の『タイタニック』でアイドル的人気を集める。その後も有名監督たちのもとで主演作品を着実に重ねていき、2002年の『ギャング・オブ・ニューヨーク』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』で演技派としての評価を高める。

2015年の『レヴェナント:蘇えりし者』で念願のアカデミー主演男優賞を受賞した。

『ギルバート・グレイプ』(1993)

アメリカの小説家で劇作家のピーター・ヘッジズの同名小説を、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の名匠ラッセ・ハルストレム監督が映画化したヒューマンドラマ。

中西部の田舎町の小さな食料品店で働くギルバート(ジョニー・デップ)は、重度の知的障害をもつ弟のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)、過食症の母、ふたりの姉妹たちと暮らしていた。そんなある日、トレーラーハウスで祖母と旅を続けるベッキー(ジュリエット・ルイス)と出会い、平凡な日常に爽やかな風が吹き込む。

本作では、少年映画に定評のあるハルストレム監督が、弱冠19歳のレオナルド・ディカプリオの才能を開花させた。ディカプリオが演じた知的障害を抱えた少年の優しげな眼差しは多くの感動を呼び、第66回アカデミー賞で助演男優賞に見事ノミネートされた。

『ロミオ&ジュリエット』(1996)

世界文学を代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」5度目の映画化作品で、『ダンシング・ヒーロー 』のバズ・ラーマン監督が設定に大胆な脚色を施し、スタイリッシュな映像表現で不朽の恋愛悲劇を現代に蘇らせた。

舞台は、ブラジルのヴェローナ・ビーチ。二大マフィアのモンタギュー家とキャピュレット家が激しい抗争を繰り広げる。主演のレオナルド・ディカプリオが演じたのは、モンタギュー家の1人息子ロミオ。体当たりの演技で挑み、クレア・デインズ扮するキャピュレット家の令嬢ジュリエットと運命に翻弄されるカップルを熱演。

第47回ベルリン国際映画祭で見事銀熊賞(俳優賞)に輝いた。

『タイタニック』(1997)

1912年に実際に起きたイギリスの豪華客船タイタニック号沈没事故を題材に、『ターミネーター』など数々の大ヒット作を世に放ってきた巨匠ジェームズ・キャメロン監督が映画化したラブロマンス巨編。

物語は、客船沈没の史実に基づいて構成されており、画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と上流階級の娘ローズ(ケイト・ウィンスレット)の身分違いのロマンスが仔細に描かれる。映画の後半、一挙にパニック映画に転ずる展開も鮮やか。

本作でレオナルド・ディカプリオはアイドル的人気を博し、日本では「レオ様」という愛称で人気と知名度が急上昇した。

『ザ・ビーチ』(2000)

イギリスの小説家アレックス・ガーランドの原作をもとに『トレインスポッティング』で英国を代表する監督となったダニー・ボイルが手がけたアドベンチャー・ファンタジー。

タイの首都バンコクで単身放浪の旅を続けるリチャード(レオナルド・ディカプリオ)。彼は宿泊先の宿で、夢の楽園だというビーチの存在を耳にし、目的地を定めるのだが……。

『タイタニック』で一躍アイドル的人気を博したディカプリオが数多くのオファーの中から本作を選び、現実に背を向ける青年像を等身大で演じ、高い評価を獲得した。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)

アメリカの元天才詐欺師フランク・アバグネイルの自伝小説「世界をだました男」をもとに、スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化。

16歳から21歳までの間に400万ドルを稼いだ十代の詐欺師フランク・アバグネイルをレオナルド・ディカプリオが熱演。FBI捜査官カール・ハンラティに扮するトム・ハンクスとの軽妙なやり取りを繰り広げた。パイロット、医者、弁護士と変幻自在に身分を変えていくディカプリオのコスプレが印象的。

俳優としての確かな実力をみせたディカプリオが、演技派としての道を進む本格的なターニングポイントとなった作品。

『アビエイター』(2004)

アメリカの実業家であり映画製作者でもあった大富豪ハワード・ヒューズの半生を、名作『タクシードライバー』などで知られる巨匠マーティン・スコセッシ監督が完全映画化。

1920年代のハリウッドを舞台に、父親の莫大な遺産を相続し、映画製作に巨費を投じるハワード・ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)は、大女優キャサリン・ヘプバーン(ケイト・ブランシェット)と浮き名を流す。さらに長年の憧れだった航空事業にも参入し、時代の寵児となったが……。

本作でハワード・ヒューズを演じたレオナルド・ディカプリオは、『ギャング・オブ・ニューヨーク』に続いて、スコセッシ監督と2度目のタッグ。破天荒な生き様で常に世間の話題を集めたヒューズの才気と孤独を見事に表現し、第77回アカデミー賞主演男優賞にノミネート。惜しくも受賞は逃している。

『ブラッド・ダイヤモンド』(2006)

西アフリカ・シエラレオネでの内戦をモチーフに、『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック監督が映画化した社会派サスペンス作品。

内戦下のシエラレオネ共和国を舞台に、紛争の資金源として不法取引されるブラッド・ダイヤモンド。元傭兵の密売人アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)、反政府軍の襲撃により家族と離散したソロモン(ジャイモン・フンスー)、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)がダイヤモンドの真実に迫る。

主演のレオナルド・ディカプリオは、非情な密売人を好演。激しいアクションシーンも繰り広げた。

『ディパーテッド』(2006)

レオナルド・ディカプリオとマット・デイモン、二大スターの豪華共演。香港ノワールの傑作『インファナル・アフェア』の宿命的な物語をスコセッシ監督がリメイクした。

犯罪がはびこる貧困街で幼少期を過ごした少年たちが、ともに警官としての道を進む。ひとりは極秘任務としてギャングへ潜入し、もうひとりは警官としてマフィアの内通者となった。互いの過去を隠しながら、それぞれの目的を果たすため、男たちはしのぎを削り合う。

スコセッシ監督との3度目のタッグとなる本作でディカプリオが演じたのは刑事ビリー・コスティガン。ジャック・ニコルソン演じるボスが支配するギャング組織を潜入捜査する役どころ。マット・デイモン演じる警察をスパイする新人警官との対照が印象的。本作は、第79回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・編集賞を受賞している。

『シャッター アイランド』(2010)

デニス・ルヘインの同名ミステリー小説を原作に、『ディパーテッド』の巨匠スコセッシ監督が映画化したサスペンス・スリラー。

1954年、社会から遮断された孤島の犯罪者用精神病院にやってきた連邦保安官テディ(レオナルド・ディカプリオ)。彼が、患者たちだけでなく、島を管理する精神科医たちが隠している恐るべき秘密に孤軍奮闘する様が描かれる。

ディカプリオが演じた保安官テディが、強制収容されている精神異常をきたした犯罪者たちの取り調べを進め、ハラハラさせられる展開が続く。ハリウッド古典期のホラー映画の雰囲気を漂わせる本格スリラー作品に仕上がっている。

『インセプション』(2010)

『メメント』『ダークナイト』などの気鋭のヒットメーカー、クリストファー・ノーラン監督が、オールスターキャストで放つSFエンターテインメント大作。

人が夢をみている間に、その潜在意識にまで潜入していく、アイデアを盗み出すスペシャリストたちがいた。驚異の潜入能力を持つドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、才能が災いし、人生の全てを失ってしまう。そんな彼がリベンジをかけて挑んだミッション=“インセプション”は、他人の潜在意識に逆にアイデアを植え付けるという不可能に近いものであった……。

主演のディカプリオが演じたのは、スパイ業界の中でもトップの腕前を誇るコブ。終始眉間に皺を寄せている表情が印象的。キャリアを積んだその演技力で作品の面白さを引き立てている。

『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)

大のウエスタン好きとして知られるクエンティン・タランティーノ監督が、巨匠セルジオ・コルブッチ監督の代表作『続・荒野の用心棒』から着想を得て、満を持して挑んだ西部劇。

黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、愛する妻を奪われ、非人間的な酷使を強制されていたが、賞金稼ぎのシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と出会い、自由の身となる。彼は西部の荒くれ者たちを相手にしながら、妻が囚われている大農園キャンディ・ランドを目指す。

本作でレオナルド・ディカプリオが演じるのは、敵の牙城キャンディ・ランドに君臨する暴君カルビン・キャンディ。これまでにない悪役に徹したディカプリオの怪しい魅力が光る。作品の随所にタランティーノ監督のウエスタン愛が散りばめられ、第85回アカデミー賞では脚本賞と助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)を受賞している。

『華麗なるギャツビー』(2013)

20世紀アメリカ文学を代表する小説家F・スコット・フィッツジェラルドの代表作「グレート・ギャツビー」の映画化作品。

正体不明の大富豪ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)。彼は毎晩のように豪勢なパーティーを催していたが、その実態は謎に包まれており、彼の秘密を知るものは誰ひとりとしていなかった……。

1974年の旧作ではロバート・レッドフォードが演じていた主人公ギャツビー。レオナルド・ディカプリオは、豪華絢爛な上流社会に生きる紳士然とした上品さをたたえた姿が印象的。

『ロミオ&ジュリエット』以来、バズ・ラーマン監督とは2度目のタッグとなる。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)

アメリカの元株式ブローカーであるジョーダン・ベルフォートの回想録「ウォール街狂乱日記 -「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生」を原作に、巨匠スコセッシ監督が映像化。

一攫千金の野望を抱くジョーダン(レオナルド・ディカプリオ)は、株式仲買人という転職を見つけ、いきなり荒稼ぎをする。彼はその後、投資会社を設立し、一気にウォール街の頂点に躍り出て、“ウルフ”とまで呼ばれる存在になるのだが……。

本作でスコセッシ監督と5度目のタッグとなったディカプリオ。人生のすべてにおいて金に物を言わせ、セックスとドラッグに明け暮れた成り上がり者の成功から破綻までの半生を、見事に演じ切った。第86回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされ、受賞に大きな期待が寄せられたが、結果は本作では先輩役として共演したマシュー・マコノヒー(『ダラス・バイヤーズクラブ』)に輝いた。

『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)

現代アメリカの作家マイケル・パンクの小説「蘇った亡霊:ある復讐の物語」を原作に、『バベル』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が映画化したサバイバル・ウェスタン。

先住民の襲撃を受け、大きな犠牲を払った毛皮ハンターの一団であったが、そのひとりヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は山越えの最中、さらに熊に襲われ、重傷を追う。何とか生き残ったグラスだが、同行していた息子も仲間に殺害され、激しい憎悪のうちに復讐を誓う。

本作で、アメリカの西部開拓時代に活躍した実在のハンター、ヒュー・グラスの壮絶な半生を全身全霊の怪演で演じ切ったディカプリオ。第88回アカデミー賞で主演男優賞を受賞し、5度目のノミネートにして悲願のオスカーに輝いた。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)

特有のユーモアと映像センスで世界の映画ファンを魅了し続けるクエンティン・タランティーノ監督の最新作。

ロマン・ポランスキー監督夫人のシャロン・テートが狂信的なカルト集団によって惨殺されるという1969年に実際に起きた事件を題材にしている。背景として当時のハリウッド映画界の様子が描かれ、レオナルド・ディカプリオは、すでにキャリアのピークを過ぎてしまったテレビ俳優リック・ダルトンを演じる。

ブラッド・ピットの初共演が話題の本作。ブラッド・ピットは、ディカプリオ演じるリックを支えるスタントマンを演じる。「ラスト13分。映画史を変えるのは、この二人」という触れ込みで、その展開も注目を集めている。

【文/チャーリー】

(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.、(C)2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.、(C)2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.、(C)2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved、(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.