産業用のトラストデータはクーポン券のように使おう
GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)など米国のメガプラットフォーマー企業群が、ビッグデータ(大量データ)から巨大な利益を生み出しているのは周知のとおりである。ここでいうビッグデータは、個人情報を含むパーソナルデータを指している。言い換えればビッグデータとは、巨大な消費者行動データベースである。これが極めて重要な資源であることは間違いない。
一方、企業内、あるいは特定の企業間で利用されるデータは産業データと呼ばれる。産業データをビッグデータに含める場合もあるが、ここでは企業内のデータをディープデータ、企業間のデータをトラストデータと呼び区別する。ビッグデータ、ディープデータ、トラストデータ、そして公的機関が提供するオープンデータの4種類が、新たな時代のイネーブラー(変革技術)である。
ところで、データには、所有権が認めらていないのをご存じだろうか。「このデータは私のもの」という主張は、法律的に認められない。従って、私だけが持っているはずのデータを、第三者が使っていることが分かったとしても、それを返してもらうことはできない。製造業が、工場のデータを完全にクローズとするのは、この自衛手段である。新たな時代の石油は、その取り扱いが石油以上に難しい。
カイゼンが得意な日本の製造業は、組織間、企業間の連携が不得手である。これは、企業間の信頼関係(トラスト)の構築プロセスがアナログであることによるところが大きい。クローズ体質と合わせて、こうした状況を打破するには、産業データの中でも、特に企業間でやりとりされるトラストデータの役割に注目する必要がある。
取引市場ではない
筆者が代表理事を務める一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)では、製造現場のカイゼン活動を、企業を超えて外部とつなげるための「ものづくりデータ取引」の仕組みを開発中だ。データ取引というと、データの売買をイメージするが、これは取引市場ではない。
