都立千歳丘vs都立松原

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世田谷区の都立対決!千歳丘、被安打0、7回コールドで開幕戦を制する

 どんよりとした曇り空。天候が心配されたが、雨の影響を受けることなく、第101回の夏が、東京でも始まった。

 開会式後に行われた開幕試合は、都立松原・都立千歳丘という世田谷区の都立校同士の対戦になった。かつて学校群というグループ選抜があった時代は、当初都立松原も都立千歳丘も25群と、同じグループになっていた(後に都立松原は25群、都立千歳丘は26群になる)。

 ただ現在の野球部の状況は、都立千歳丘は部員が40人であるのに対し、都立松原は登録が11人で、さらに1人辞めて10人。それでも新入生が入るまでは、部員は2年生が2人いるだけ。1年生の槻田幹雄が同じクラスの仲間を4人誘ったのをはじめ、2年生もさらに1人加わり、10人となり、何とか単独での出場を果たした。

 とはいえ都立松原は、入学間もない1年生中心。中学の時、野球経験のない子もおり、力の差は明らかにあった。それでも、序盤は粘った。

 都立千歳丘の先発、横手投げの松岡莉玖も都立松原の先発、1年生の吉田啓信も、ともに球威はそうなく、緩急で打たせるタイプ。都立松原は都立千歳丘の松岡の投球にタイミングが合わない。

 一方都立千歳丘は1回裏2四球で二死一、二塁とするも、二塁走者が牽制に刺される。2回裏もこの回先頭の5番・梁取和希の右中間を破る三塁打に、2四球で無死満塁のチャンスをつかむ。8番・別城秀歩は浅い中飛。三塁走者の梁取は本塁を狙うが、都立松原の中堅手・中野璃来の好送球でアウト。ここまでは、都立松原の1年生の溌剌としたプレーが目立っていた。

 それでも、猛攻をこらえ続けるのには限界がある。3回裏一死から3番・中村友哉がレフトフェンス直撃の二塁打で出塁すると、4番・松本耀の右前安打で還り1点。松本も牽制が暴投になるなどして三塁に進み、6番・一木龍範の右犠飛で還り2点目を入れる。

 4回裏は、好投している松岡の二塁打に敵失もあり、都立千歳丘は一挙5点を入れて、試合を決める。一方この回、都立松原の遊撃手・槻田は、足が吊った状態になっていた。控えは1人だけ。簡単には選手を代えられない。それでも5回は、槻田自らがマウンドに立ち、都立千歳丘を無失点に抑える。「ストレートを低めに集めました」と、槻田は語る。

 けれども、センターに回った6回裏、三塁打になった都立千歳丘の3番・中村友の打球を追ったところで、限界に達し、1人ベンチにいた有賀文哉と交代した。これで、都立松原は全員が出場してことになった一方で、1人でも負傷者が出れば、棄権になるところであった。都立松原の宮坂純一監督は、「考える余裕はなかったですね」と苦笑する。6回裏も都立千歳丘は2点を入れる。それでも、あと1点で6回コールドとなる場面で、一死満塁のピンチを迎えていたが、追加点は許さず、7回表の攻撃を迎える。

 都立千歳丘の松岡は、6回まで3個の四球は出したものの、安打は許さない。一本、ギリギリでファールになった場面はあったものの、打たれる感じのしない、危なげのない投球であった。7回表も二死となり、あと1人で、参考記録ながらノーヒットノーランを達成するところであったが、ここで田中一吉に交代。田中は都立松原の6番・鈴木飛龍を三ゴロに抑え、2人で7回を無安打に抑え、9対0の7回コールドが成立した。

 両チームにとって、神宮球場での開幕戦を戦えたことは、大きな財産である。特に都立松原は3年生がおらず、そのままのメンバーで秋を迎えることができる。「バッティングが課題ですが、いい経験ができました」と宮坂監督。東京で一番早く誕生した秋季大会の新チームの、今後の成長を期待したい。

 都立千歳丘も、松岡をはじめ落ち着いた試合運びで初戦を乗り切ったことは大きい。やや雑になった部分は修正点であるが、次は優勝候補・東海大菅生への挑戦権をかけて、都立小平南と対戦する。

 

文=大島 裕史

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