量子コンピューティング「イジングマシン」が解決する課題
企業などが抱える現実課題を解くには、イジングモデルに落とし込まなければならないが「現実課題とイジングマシンの間には大きなギャップ(溝)がある」(戸川教授)という。
アニーリングが得意とする配送の最適化や出店計画などの組み合わせ最適化問題を解く際に、まず解きたい現実課題を「整数計画問題」などの数式に定式化する必要があるが、そのままでは計算できない。イジングモデルで解くためには0と1のビット情報に基づく「論理イジングモデル」への変換と、ハードウエアに埋め込むための「物理イジングモデル」への変換という2段階の手順が必要となるが、人手と時間がかかる。このギャップを埋めるため、ミドルウエア群や共通API(応用プログラムインターフェース)などで構成する共通ソフトウエア基盤を開発し、利用者とマシンをつなぐ中間層を整備する考えだ。政府の次世代コンピューターの支援策はハード一辺倒から、ソフトウエアの上位層へと広がっている。
インタビュー/早大大学院・戸川望教授 世の中のボトルネック解決
―量子コンピューティングの性能は、ゆくゆくはスーパーコンピューターを超え、スパコンの100―1000倍になるとの予測があります。
「量子アニーリングマシンとスパコンとの性能をベンチマークしているが、100―1000倍とは簡単には言えない。だが、これまで指数関数的に計算時間がかかっていた問題を少ない時間で解法できるなど、極めて強力な選択肢だ」
