カンヌライオンズまとめ:リビエラでの1週間でわかった5つのこと
カンヌライオンズは、メディア業界やマーケティング業界の実績を評価するいい機会だ。たとえ、扉を閉ざした会議室のなかで議論されていることが、ステージ上でパネリストが語っている内容を反映していないとしても、ここは多くの点で、メディアやマーケティングにとって前例のない機会となっている。
クロアゼット通り沿いに集まった業界幹部たちが、最重要事項ととらえたテーマのいくつかを以下に紹介する。
ある大手アドテク企業の販売担当幹部はこう語った。「誰もが後ろを気にしている。これは(1対1の)会話でも何らかの形で触れられたことだ」。
守りを固める企業もあれば、攻勢に出る企業もある。Facebookの最高執行責任者(COO)シェリル・サンドバーグ氏は、別の年にカンヌに来て、プラットフォーム改良のために同社が行っていることについて語ったことがあるが、プレス向けのイベントで「ターゲティング広告は攻撃にさらされている」と述べた。サンドバーグ氏は、Facebookは完全に広告にサポートされた企業として、こうした状況に立ち向かっていくと話した。
テレビは大きく巻き返そうとしている。今年のカンヌライオンズではNBCユニバーサル(NBCUniversal)がその出展規模を3倍に増やし、より多くのクリエイティブエージェンシーにリーチしようとしていた。同社は、ローン・マイケルズ氏をはじめとする「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」のプロデューサーやライターを連れてきて、ハイエンドな番組を制作する能力を示すとともに、そうしたリソースを広告主が利用できる方法を示そうとした。コムキャスト(Comcast)やワーナーメディア(WarnerMedia)、RTLグループ(RTL Group)のような、ほかの大手テレビネットワークも今年はビーチやヴィラに専用スペースを設けて存在感を強めていた。
テレビ広告がよりスマートになり、データの影響を受けることが増えてくると、伝統のあるメディアの多くは、プラットフォームから広告予算を奪い取れると自信を持つようになってきた。プラットフォームと違い、従来型のテレビやストリーミングTVにはプレミアムなコンテンツがあり、ブランドセーフティも確保されていると、主張は続く。欧州の放送局RTLグループの広告販売部門、RTLアドコネクト(RTL AdConnect)でマネージングディレクターを務めるステファン・コルブル氏は、テレビ広告の未来についてのパネルディスカッションで「帝国の逆襲だ」と話した。
マーケターはプラットフォームでの支出を続けるだろう。各ブランドの幹部たちはこの1週間、ブランドセーフティを向上させるためにプラットフォームが何をどうする必要があるかを話して満足していた。だが、それが実行されたとしても、有意義な期間に渡って、FacebookやGoogleやYouTubeから予算を引き上げる人が増えると期待してはいけない。ふたりの著名なマーケター――ひとりはあるホテルチェーンの幹部で、もうひとりは消費財(CPG)ブランドのマネージャー――は、FacebookやGoogleやYouTubeにはブランドセーフティの問題があるという理由で、プラットフォームからテレビへと予算を移動させるとは明言しなかった。ふたりのマーケターはどちらも、まだ相当な額をテレビ広告に注ぎ込んでいるが、誰かにホテルの宿泊代やパスタの代金を払ってもらおうと思うなら、ソーシャルチャンネルでのパフォーマンスマーケティングの価値を無視することはできない、と述べた。
コンサルタント企業は脅威だが、いまのところはまだ代替策にはなっていないかもしれない。コンサルタント企業は表面上、カンヌではおとなしくしていたように見えた。アクセンチュア・インタラクティブ(Accenture Interactive)はヨットを用意していたが、それはコンサルタント企業の公共活動のためのものだった。エージェンシーによって意見が分かれることは、コンサルタント企業が実際にどれほど脅威になるかという点だ。広告エージェンシーのトップ企業のプレジデントは、クリエイティブ戦略の立案や制作、実際のキャンペーン実施などでエージェンシーと同レベルのサービスを提供できていないケースがほとんどなので、コンサルタント企業は気にならないと話した。別の大手エージェンシーの幹部は、前述の人物よりもコンサルタント企業を意識していたが、エージェンシーがクライアントにとって重要なパートナーであり続ける方法はいくつもあるという認識を示した。
「持ち株会社はどこも恐れている」と、2番目のエージェンシー幹部は言った。「だが、クライアントはコンサルタント企業を代替策とは見ていないと思う」。
何よりもデータが大事。だが、どのデータが大事なのだろう? カンヌライオンズの期間中、参加者の頭をもっとも悩ませた言葉は、「ストーリーリビング(storyliving)」を抑えて「データ」だった。データを中心にテレビについて語るすべてのパネリストがそう感じていたようだ。特に、プラットフォームにおけるブランドセーフティ向上を巡る議論では、進行中のデータの悪用を無視できなかった。まとめるのがときに困難なのは、メディア企業やマーケター、エージェンシー、その他カンヌに集まったパネリストにとって重要なデータの種類は何かということだ。
ある意味、データの重要性の高まりは、データに依存するビジネスに参入する企業が増えたことの副産物だ。テレビネットワークは、年齢や性別ごとにテレビやデジタル機器のスクリーンにデータ連動型広告を提供するようになりつつある。電話会社は、大きな力を持つ広告ビジネスを作り上げるために膨大な量のファーストパーティのモバイルデータへのアクセスを約束している。メディアやマーケティングにとってデータがこれほど重要になったことはかつてない。だが、業界にいる企業にとって、どんな種類のデータが重要なのか、なぜそれがこの場合に重要なのか、より詳細な定義が必要になる。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)
