次世代iPhoneは画面どこでも指紋認証を実現?アップルが進化版Touch IDを特許出願
AFP

2013年のiPhone 5sで採用されながら、2018年のiPhoneでは全機種で廃止された指紋認証のTouch ID。しかし、アップルがこの生体認証技術をより進化させた発明を米国特許商標庁(USPTO)に特許出願していることが明らかとなりました。「入力表面の画像化のための音響パルス符号化」と称されたこの発明は、入力デバイスの表面に触れた他の物体を音響により認識しようとするもの。要するに、ディスプレイに押しつけられた指紋を音の反射によって読み取ることを目的とした技術です。

特許文書によれば、ディスプレイの下部に2列の音響トランスデューサー(センサー)が配置され、タッチ入力に応じて符号化インパルス(非常に短い信号)を送信。その反射データを受け取った結果に基づいて、画像を生成できるとのことです。

具体的には、音響インパルスが送信されるとユーザーの指紋の尾根(凹凸のうち凸部分)に接触。するとインパルスが反射され、トランスデューサーが受信することで分析可能な指紋画像が認識されるという仕組み。ちょうど魚群探知機や潜水艦探知用ソナーなどのアクティブソナー(パルス信号を発し、物体からの反射音を受信して立体的に探知する)に原理が近そうです。

この指紋認識技術においては、トランスデューサーをディスプレイ本体に組み込む必要がありません。そこから考えられるメリットは、1つにはディスプレイを薄くしやすいことです。

さらにディスプレイ製造の複雑さを減らせるほか、最初から全体像を認識できるため、認証スピードも速くなり処理能力も少なくて済む--特許文書にはそう解説されています。


そして指紋認識が音響に基づいているため(ディスプレイの組み込み機能ではない)「ディスプレイのどこでも指紋認証が可能」といった仕様も実現できるわけです。特許文書に添付されたイメージの1つでは、上下左右から画面を囲むかたちで音響トランスデューサーが配置され、認識場所にとらわれず正確なスキャンができる実装例が提示されています。

アップルは毎週のように多くの特許を出願しており、そのうち実際の製品に反映されるものはごくひと握りにしかすぎません。今後のビジネスの方向性をうかがわせる手がかりでさえなく、すでに事業計画から外された可能性もあることを留意しておく必要はあります。

とはいえ、今年中に発売が噂されているiPad mini 5(仮)と10インチ新型iPadは、どちらもTouch ID搭載であると推測されています。これまでTouch IDと指紋センサー内蔵のホームボタンはセットと考えられてきましたが、もしかしたら「ホームボタンがないTouch ID採用のiPad」が出る可能性もあるのかもしれません。