2大会ぶり5回目の決勝進出を果たした森保ジャパン。韓国メディアは「日本は実利を取るサッカーを行なっている」と評価した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 アジアカップ準決勝で森保ジャパンがイランを下したことは韓国でも一斉に報じられている。
 
「日本、イランを3-0で完破、強い砂嵐を突破しアジアカップ優勝へ前進」(『エコノミーニュース』)
「異変ではない異変。日本、イランに3-0の圧勝…イランはマナーでも完敗」(『亜州経済』)
「集中力の日本、性急だったイランを3-0で完破…5度目の優勝に挑戦」(『MKスポーツ』)
「日本、勝つことで“強者”になる…イラン、3-0で大破」(『Best Eleven』)
 
 といった具合で、特定選手にスポットを当てた記事も多い。
 
 例えば『スポーツ朝鮮』は「イラン戦3得点を作った南野、笛が鳴るまで止まってはいけない理由」と題した記事を掲載。『OSEN』も、「南野の集中力で日本、イランに完勝」とした。
 
 また、苦戦続きだったグループリーグから一転、決勝トーナメント進出以降、試合を重ねるごとに日本の強さが増していると評価するメディアも多い。
 
『スポーツソウル』は、「弱そうに見えた日本がアジアカップ決勝へ…韓国とはまったく違う勝因とは」と題した記事の中で森保ジャパンの準決勝までの歩みを論評しながら、「日本は実利を取るサッカーを行なっている。もともと日本は、短いパスを通じて試合を展開させるスタイルにこだわるところがあった。しかし今回のアジアカップでは、急速なカウンターを試みたり、セットプレー、ロングボールを適切に活用したりしている」と分析した。
 
 ただ、やはりというべきか、もっとも多いのは韓国との比較も絡ませた森保ジャパン評だ。
 
 例えば『中央日報』は「欧州組2VS11…ベント号、日本から学べ」と出した特集記事を掲載。「欧州選手と体格的にも近いイランの選手にも押されなかった。南野の執念は大迫の先制ゴールにつながった」としながら、先発全員が欧州でプレーしている日本に着目しつつ、「日本サッカーは前進しているが、韓国サッカーは停滞している」と締めくくった。
 
『メディア・ペン』の記事も興味深い。同メディアは「日本のイラン完破が羨ましい。韓国サッカー、屈辱的だが日本から学べ」という記事の中で、「準々決勝までさほど強く見えなかった日本が強力な優勝候補であるイランに大勝した原動力は何か。個人の力量では日本もイランも大差なかったが、日本の選手には根気があり、集中力を発揮して相手の隙も見逃さなかった」とし、「失望的なプレーが多かった韓国の選手と比較せざるを得ない」と、期待外れに結果に終わった韓国を嘆いていた。
 
 韓国のサッカーファンたちの反応もメディアの論調と変わらない。『東亜日報』は「日本、イランを3-0で完破、韓国ファンたち“脱アジア級、韓国も奮発しなければ」と題した記事の中で、ネット上で見受けられたサッカーファンたちの書き込みを紹介。サッカーファンたちも、「日本のパスは凄すぎる。選手の基本技術も何段階も上。マジで脱アジア級だ」、「日本はロシアW杯のときも感じたが、アジア1強だ」「日本の個人技と組織力が本当に羨ましい。バックパスとクロスだけを乱発する韓国サッカーと対比すると……」など、日本の強さを高く評価し、自国の不甲斐なさを嘆く声が多かった。
 

 いずれにしても韓国は、強敵イランを撃破して決勝進出を決めた森保ジャパンを羨望の眼差しで見つめている。「刷新して日本らしく、森保ジャバン羽ばたく」(『News1』)「香川・本田なしの世代交代で決勝進出、驚くべき日本」(『スポーツ韓国』)と韓国でも注目が集める森保ジャパン。「日本5度目の優勝に自信、アジアカップ決勝の勝率は100%」(『MKスポーツ』)と報じられる通り、見事、頂点に立つことができるだろうか。複雑な感情を抱きながら韓国も注目していることは間違いない。
 
文●李仁守(ピッチコミュニケーションズ)
 
参照元:『スポーツソウル』日本版
弱そうに見えた日本がアジアカップ決勝へ…韓国とはまったく違う勝因とは