「鉄道マニアは好きじゃない」JR九州の会長は観光列車をどう成功に結びつけた?/LEADERS online
JR九州と他との違いとは?「観光列車は物語を語れ!」
一般には観光列車だが、「ななつ星」を始めとした列車をJR九州では「デザイン&ストーリー列車」と呼ぶ。
全部で12本あり、ネーミングは唐池会長、デザインは水戸岡鋭治氏がすべて手がけている。
他の列車と違うのは、一つ一つに素敵なデザインがあるということと、一つ一つに物語が付随していること。加えて、地元の素材をふんだんに使っていること。
これがJR九州のデザイン&ストーリー列車の成功の素なのだ。
「その秘密は子ども」と唱える唐池会長。「どういうことですか?」とタケが訊く。
それを受けて、「私は、鉄道があんまり好きじゃないんです。さらに言うと、鉄道マニアも好きじゃない」と仰天発言が飛び出した。
JR九州の社内にはもちろん鉄道マニアもいれば、鉄道マニア向けの施策もある。記念乗車券はマニアの人が買いに来て、九州で発売すると、だいたい1000枚は売れる。
言い換えれば1000枚しか売れない。仮に列車の座席が30なら、30日ちょっとで飽きられてしまう。
だからこそ「デザイン&ストーリー列車」もマニアを無視して作る。それは、女性や家族や子どもをターゲットに、どう喜んでもらえるかという発想でやっていくからであり、だからこそ大きな成功につながったのだ。
唐池会長の信念
唐池会長は9月に「感動経営〜世界一の豪華列車『ななつ星』トップが明かす49の心得」をダイヤモンド社から出版。
そこで語られている「信念」についてタケが迫った。
タケ:
企業経営で一番大事なことは?
唐池:
"誠実"だと思いますね。これまで多くの一流企業、大企業が経営に行き詰ってきました。産地の偽装や不具合のトラブル...それが破たんの原因なのかというと、そうではない。その後の対応がおかしかった。
事件や事故はどうしても起きてしまう。だが、それをしっかり解決すれば問題は収束する。
ところが、隠ぺいをしたり、ウソをついて発表したりすると、会社の信用がなくなる。一番怖いのは、会社の信用がなくなることなのだ。
タケ:
信念は何ですか?
唐池:
キーワードは『夢・気・感動』です。
タケ:
感動とは?
唐池:
トップの人はベースに感動があり、凡人が気付かないようなことに気付きます。感動する人こそ、人に感動を与えることができる人なのです。
唐池会長が、日本の企業で一番の感動商品だと思うものは、ソニーのウォークマンだという。当時のカセットレコーダーは録音も再生もできた。
ところが、ウォークマンは再生しかできないが、持ち歩けるほど小型化した。ソニーのトップの人が「こういうのが欲しい」と言ったから生まれ、そしてそれがヒットした。
「"気付き"から"感動"して、"感動するもの"を作っていく」
良い仕事は、誰かを感動させる。料理人は感動させたいと食材を選び、調理に工夫を重ね、食器を選んで提供する。
役者も感動させたいと演技力を磨く。上司と部下の関係も同じで、上司は夢を与えてついてこさせ、部下は上司を「感動させたい」と思い仕事をする。感動は循環していく。
自分は、夢を貰い、そして人に与えられているだろうか?
自分の職場は「気」に満ちた環境だろうか?さらに、自分は気付きから感動できるものを作っているだろうか?
タケもスタッフも、仕事の一挙手一投足について改めて考えさせられ収録を終えた。
(前編:「さがせ100万円、みつけろ10万円」企業体質を変えるJR九州会長の言葉 https://www.fnn.jp/posts/00383200HDK)