ブレグジットあと半年・・・産業各界、「合意なき離脱」に警戒感
実際、英国では高速鉄道や老朽車両の更新など需要は拡大している。日立は継続的な受注ができれば、工場も内需向けだけで安定稼働すると見通す。さらに受注後のメンテナンス需要も大きい。
ただ、入札競争が激化する現実も横たわる。独シーメンスは英国の欧州離脱も睨み、3月に英国内で車両製造拠点の建設を発表。これまでは大陸から輸送していたが、現地生産する。6月には日立などに競り勝ち、ロンドン市交通局の地下鉄の大型受注を獲得した。
複合機メーカーではリコーが英国にトナーなど消耗品の生産拠点を持つ。大半が国内向けのため影響は現時点では軽微だという。
金融/「単一パスポート」利用
日本の大手金融機関はEUに加盟する1カ国で認可をとれば他の加盟国でも金融サービスを提供できる「単一パスポート」を利用する。金融機関はロンドンへの集積が高く、「英国でパスポートを取得した金融機関はEU離脱で域内業務が制限される懸念」(都銀関係者)が生じた。各社とも離脱までの猶予期間で欧州拠点再編を進めており、合意なき離脱でも影響は緩和される見通しだ。
英国でパスポートを取得した三井住友銀行は、19年に独フランクフルトで全額出資の子会社を設立する。同国でパスポートを取得し、離脱後も欧州での業務体制を万全にする。三菱UFJ銀行とみずほ銀行はオランダでパスポートを得ており、EU域内のアクセスは継続できる。
三菱UFJ銀は4月に独などの拠点を日本本店からオランダの現地子会社へ移管し、以前から進めていた再編を本格化。ロンドン拠点はオランダの運営を引き続き支援する。みずほ銀は17年1月にオランダ現地法人を「欧州みずほ銀行」に改称。ベルギーなどの拠点を傘下に置く。
証券業界ではフランクフルトが拠点で、野村ホールディングス(HD)などが現地法人を設立済み。SMBC日興証券も拠点整備を検討中だ。
■ブレグジットとは■
英国のEUからの離脱のこと。16年6月の英国民投票で「離脱」が「残留」を僅差で上回り、協議が始まった。EU拡大で薄れゆく国家主権への懸念やEUへの財政負担、難民・移民問題などが離脱を後押ししたとされる。
離脱日時は19年3月29日23時(現地時間)と定まったが、離脱に向けた合意はまだ締結されていない。離脱条件や通商関係をめぐる合意なしで離脱すれば、双方の経済・社会で混乱がもたらされる。
事務的な作業を考えれば10、11月中が「秩序ある離脱」の最終期限とされる。混乱をさけるため、離脱期限の延長ものぼりはじめた。しかし、EUに協調的な英メイ政権の離脱案は「離脱強硬派」からも批判を浴びており、議会承認が得られない恐れもある。
