NTTドコモの5G展示施設「FUTURE STATION」を紹介!

NTTドコモが都内にある同社本社にて次世代通信規格「5G(第5世代移動体通信システム)」の展示施設「docomo FUTURE STATION」を8月22日に設置・公開しました。

同施設は企業関係者や見学者向けに公開されるもので、一般客の来場は基本的にはできません。施設の展示内容は5G技術の活用例などで、これまでに各種展示会に出展してきた内容や東京ソラマチに常設展示している内容などを総括・発展させ、さらにパビリオンとしての完成度を上げたものです。

5G技術は移動体通信事業者(MNO)各社が超大容量・超高速・超低遅延を実現する通信技術として2020年のサービス開始を予定していますが、その中でも具体的な技術の応用例やコンテンツへの活用例を積極的に発信しているのが同社です。

本施設も5Gの特徴やメリットを分かりやすく実感できる内容となっており、企業関係者などにその技術の活用を強くアピールすることが大きな目的です。


NTTドコモが描く5Gの世界とは


■日本の中枢から5Gを発信
眼下に国会議事堂を見下ろせる位置にあるNTTドコモ本社は日本の通信インフラの中枢を感じさせますが、本施設はまさに日本の中心地、ここから5Gが発信されるのだという最高の立地条件です。

展示施設内は「5G Vision」、「5G Overview」、「5G Experience」、「5G with Partners」、「5G Callenges」の5つの区画に分けられており、来場者が実際に5Gを活用したデモンストレーションなどを体験できるよう工夫されています。


施設の通路からは国会議事堂が見下ろせる


5G Visionでは4Kカメラ4台によって撮影された映像をリアルタイム合成し、眼前に広がる巨大な12Kワイドビジョンに5G通信によって送信して表示するという技術試験を体験できます。12Kワイドビジョンを用いたデモンストレーションは同社のスポーツ体験イベント「NTTドコモ『FUTURE-EXPERIMENT』プロジェクト」の1つとして一般向けにも披露されており、視界を完全に覆うほどの大画面と超高精細な12K映像の圧倒的な迫力は5G技術の未来感や凄さを感じさせるのに十分なインパクトがあります。


ワイドモニターが巨大過ぎて写真に収まらない


映像では2020年に完成予定の山手線新駅(品川駅北側付近)が映され、広大な遠景にもかかわらず自動車や電車の動き、果ては街を歩く人々まで見えるほどの高精細さです。


S-MAX:NTTドコモ・5G展示施設「docomo FUTURE STATION」・5G Visionコーナー

動画リンク:https://youtu.be/zPhZjmFPIzI

映像の送信ビットレートは200Mbps〜250Mbps程度で、その映像のみであれば現在の4G(LTE)通信でも可能ですが、広域展開し多数の人々が利用する環境で安定的にその映像を送受信できる環境を考えると送受信速度のマージンはさらに多く必要になります。

実際に5G Visionの映像を送受信している5Gアンテナは「5G Overview」コーナーにあり、そのモニターデータによればアンテナ自体の受信速度は2Gbps(2000Mbps)以上を記録しており、250Mbpsの映像データの送受信に十分な容量と速度を確保していることが分かります。

5G技術としてはさらに高速な通信(5Gbps程度)も可能とのことですが、安定性や安全性を考慮して2Gbps程度に抑えて運用しているとのことで、今後の実証実験や機器の改良などでまだまだ伸びしろはあると担当スタッフは語っています。


左右にあるのがノキア製の5Gアンテナ。この2つのアンテナで実際に5G通信が行われ5G Visionコーナーに映像が表示されている



5Gアンテナのスループットモニター。「L1 Throughput」と書かれている数値がアンテナの実効通信速度


■より実現性の高い5Gコンテンツ「多視点スイッチング観戦」
5G Experienceもまた一般向けの『FUTURE-EXPERIMENT』プロジェクトで行われた内容を用いた展示となっており、2017年11月29日に行われたフェンシングの太田雄貴氏選手とベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手による車いすフェンシングのスペシャルエキシビジョンマッチの多視点スイッチング観戦を体験できます。

複数のカメラで撮影されたエキシビジョンマッチの映像をユーザーが任意に切り替えて楽しめるというもので、多視点映像を楽しめるほかCGによるオーバーラップ映像なども利用することで、より臨場感と迫力のある新しいスポーツ観戦体験ができます。


エキシビジョンで使われた車椅子を展示し、実際の撮影状況などを再現して臨場感あふれる展示を実現。視聴者は手前のタッチパネルモニターでカメラ映像を自由に切り替えて楽しめる



正面の半透明ディスプレイには試合のメイン映像が映され、背後の展示物と重ねることでリアルな観戦体験を再現する



対戦場所を取り囲むように設置されたモニターは撮影に用いたカメラが実際に設置されていた位置を示す。多数のカメラでさまざまな角度から撮影されていたことが手に取るように分かる


5G Experienceの展示も大容量・高速通信のメリットを活かした例ですが、5G Visionコーナーの12Kワイドビジョンのように大きな1つの映像ではなく、複数のカメラ映像を同時に送信しユーザーが任意に切り替えて楽しむというインタラクティブ性を強く押し出しているのが特徴です。

12Kモニターのような環境は特殊なイベント施設やスポーツ会場などニッチな用途であり、その用途としてはBtoB(BtoBtoC)がほとんどですが、他視線スイッチング映像コンテンツはスマートフォン(スマホ)やタブレットといったデバイスへの応用が十分に想定されるものであり、より一般ユーザーに身近な活用例ではないでしょうか。


S-MAX:NTTドコモ・5G展示施設「docomo FUTURE STATION」・5G Experienceコーナー・その1

動画リンク:https://youtu.be/mK1FRsfTpOA


S-MAX:NTTドコモ・5G展示施設「docomo FUTURE STATION」・5G Experienceコーナー・その2

動画リンク:https://youtu.be/CnC1TbqLtKQ

■多数の企業との連携を進めるドコモ
このほか5G with Partnersではフジテレビとの共同実証実験であるAR映像を用いたモータースポーツ観戦コンテンツ「ジオスタ」の体験や、KOMATSUとの共同実証実験となる作業機器の遠隔操縦についての解説などを展示。5G Callengesコーナーでは5Gとその周辺技術による今後の展望などを具体的な活用例とともに紹介しています。


S-MAX:NTTドコモ・5G展示施設「docomo FUTURE STATION」・5G with Partnersコーナー・ジオスタ

動画リンク:https://youtu.be/NmdzFrSMnk0


建設現場などでの遠隔操縦技術は人手不足に悩む日本の産業界の助力となるかもしれない



5G時代のもう1つの技術基盤がIoT。そのIoTを活かす通信インフラとしても5Gは期待されている



展示施設では来場者が実際に健康管理を体験できるコーナーも用意されている


本展示施設は2020年の5Gサービス開始まで継続され、順次展示内容も更新していくとのこと。こちらは主に法人向けということもあり一般客は見ることができませんが、ジオスタや作業機械の遠隔操縦、5G送信映像の視聴といった展示内容の一部は東京ソラマチの常設展示施設「PLAY 5G」内でも体験・視聴可能ですので、一足早く5Gの世界を楽しみたい方はPLAY 5Gなどで体験してみるのも良いかもしれません。


もうすぐ5Gの世界がやってくる




記事執筆:秋吉 健


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