コンデジは本当に滅びるのか? スマホにはない魅力で生き残るコンデジとは?

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スマートフォンのカメラ性能は、日々向上している。人物や景色、夜景も自動で最適な設定で撮ってくれる。
さらにスマートフォンは、撮りたいときに素早くカバンやポケットから取り出し、撮影してすぐにしまえる。撮った写真もその場でSNSなどのネットにアップすることも簡単だ。

こうしたカメラの性能向上と使い勝手の良さから、デジタルカメラに取って代わるようになり、カメラ市場が縮小している。最近では、コンパクトデジタルカメラで人気のカシオが、デジタルカメラ事業からの撤退を発表したことも話題になった。

デジタルカメラの中でも、“コンデジ”と呼ばれるコンパクトデジタルカメラは、スマートフォンと競合する要素が多いことから特に影響が大きい。

“コンデジ”は、このまま消えていくのだろうか?

たしかにスマホのカメラは便利だが、
まだコンデジには、スマホにはない魅力が多くあるのだ。

●コンデジにはスマホにはない魅力がある
最近のスマートフォンの新製品は、カメラ性能の向上をセールスポイントとしてPRしている。
画素数だけでなく、デュアルカメラ化による画質向上、ズーム対応など、コンデジの機能に迫りつつある。
また、AIによる夜間などのシーン設定の最適化、手ぶれ補正、スローモーション撮影対応などにも対応している。

一方、デジタルカメラの中でも本格的な撮影をメインとする一眼レフタイプのカメラは、業務利用だけでなくハイマチュア向けの高画質と多様なレンズ活用での撮影で、スマートフォンとは棲み分けができている。

それに対して、誰でも手軽に持ち運べて撮影できるスマートフォンと同じ利便性を特徴としてきたコンデジは、
通信機能に対応するなど利便性で勝るスマートフォンに市場を奪われてしまったのだ。

けれどもコンデジには、まだ、スマートフォンにはない魅力がある。
・光学ズームなどのハードウェア性能
スマートフォンカメラにもズーム機能は強化されているが、まだ、画質とズーム比などで不満は大きい。
最近では画質を落とさない光学ズームも搭載されてはきたが、まだ高倍率ズームはデジタルズームに頼らないといけないため、画質は粗くなってしまう。

それに対して、コンデジは、倍率の高い光学ズームレンズを搭載できるため、高倍率ズームでも画質の劣化が少ない写真も撮れる。コンパクトながら、光学40倍、デジタル60倍以上のズームレンズを搭載するモデルもあり、運動会やスポーツ、野鳥などの撮影も対応できる。

・シャッター速度の調整など細かな設定
夜間やスポーツなどでの撮影では、通常のフルオート撮影では、被写体が動いてブレてしまうことがある。
マニュアルモードを搭載するスマートフォンもあるが、コンデジほど素早く利用することはできない。
シャッター速度の調整なども含めた細かい設定ができるコンデジであれば、スポーツや夜景、月の撮影などができる。

・Wi-Fi機能でスマホと連携
最近のコンデジはWi-Fi機能を搭載しているモデルが多い。
スマートフォンよりも高画質な写真を、スマートフォンに転送することで、コンデジとスマートフォンの良いところを活かすこともできる。
撮影した写真をスマートフォンの大画面で確認し、SNSの投稿も可能になるわけだ。


●コンデジの新製品も発売されている
画質や写真撮影という面で、まだメリットのあるコンデジは、実売価格帯で、2つに分けられる。
・数万円の手頃価格なモデル
・十数万円の高級なモデル

手軽価格は、機能に特化した製品となる。
・高倍率ズームモデル
・防水機能モデル
などだ。
高倍率ズームモデルでは、
キヤノンの「PowerShot SX730 HS」などがある。光学40倍ズームを搭載しているので、イベントなどで遠距離の撮影も可能だ。上側に約180°可動する液晶も備えるので、自撮りにも対応できる。


「PowerShot SX730 HS」の実売価格は4万円前後。


高級モデルは、デジタル一眼カメラに匹敵する画質を実現する製品だ。
ソニーの「RX100」シリーズの新モデル「RX100 VI」(DSC-RX100M6)などは、2010万画素と高画質で、毎秒24コマまでの高速連写も可能だ。動画撮影では4K動画の本体内記録にも対応する。


6月22日発売の「RX100 VI」は、市場想定価格は14万円だ。



コンデジの利用シーンの多くがスマートフォンカメラに置き換えられたのは確かだが、コンデジのメリットはまだ多い。また、高級モデルなど、特徴あるコンデジも登場し始めているので、手軽になおかつ品質にもこだわりたいなら、コンデジを手にしてみてはいかがだろう。