進まぬ職場のメンタルヘルス対策、管理職の対応が企業の損失を決定づける
一方、職場に助け合いの雰囲気がある場合はメンタルヘルスに良い影響を与えることも分かった。
データの分析を行った同大の藤原翔准教授は、メンタルヘルスへ正または負の影響を与える因子が同時に存在する場合、互いの効果は「相殺される」としつつ、「助け合いの雰囲気がメンタルヘルスに良い影響を与えても、長時間労働や残業が慢性化するのであればメンタルヘルスは悪化する」と指摘する。
職場環境がメンタルヘルスに関係していることがデータとして示されるなか、精神科専門医で認定産業医の渡辺洋一郎氏は「本人の生まれつきの体質や、パーソナリティーの関連も見過ごしてはいけない」と強調する。
同じ労働環境でも、メンタルヘルスに不調をきたす人もいれば平気な人もいる。不調になった従業員にとって、人間関係や仕事量の負荷といった職場の環境因子が大きなストレスになっているのか、または本人のもともとの体質やパーソナリティーが原因の多くを占めるのかで、解決の道筋は異なる。これらの原因を早期に見極め、適切に対応することが重要だ。
従業員に対する安全配慮義務の観点から、管理職はメンタルヘルスに関する研修を受けることが義務付けられている。こうした取り組みが進んでいるものの、「従業員のメンタルヘルス不調を認めたときにどう対応すべきか、実行性のある内容ではない場合が多い」と渡辺医師は指摘する。
例えばミスをした部下が、当たり前の反応として落ち込んでいるのか、不向きな仕事を強いられることによって「適応障害」を発症した状態なのか、または鬱(うつ)状態であるか、一見して見極めることは難しい。
