訪日で安倍首相との密接な関係を示したトランプ大統領の真の目的は? 鈴木宗男氏(左)と佐藤優氏が分析する!

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鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」。

今回は、安倍首相との密接な関係を示したトランプ大統領の訪日とその後の韓国、ロシア訪問について前編に続き分析する!

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鈴木 そして、トランプは元商売人というだけあって、パフォーマンスがとてもうまい。11月3日に訪問したハワイでは、アリゾナ記念館視察後に、かつてルーズベルト大統領が唱えた「リメンバー・パールハーバー(=真珠湾を忘れるな)」をツイートし、アメリカ国民を沸かせた。そして5日に来日したときには、朝鮮国連軍の後方司令部がある横田基地に降り立ち、金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長を念頭に置いて、独裁者を批判するメッセージを演説に盛り込みつつ、日本との連携ぶりをアピールした。

朝鮮国連軍の後方司令部が今も東京にあることを知っている人はどれだけいるかわかりませんが、今もちゃんと機能しています。それに、朝鮮国連軍地位協定という協定があって、これは日本政府が朝鮮国連軍に、日米地位協定と同レベルの協力をすることを意味するものです。このことをもう一度国際社会に思い起こさせたわけです。

何か有事があったときには国連軍の後方司令部がここにあるぞ、と。これは「金正恩よ、わかってるな?」というシグナルです。このことはあまり多くのマスメディアが報じませんでしたが、最も興味深いパフォーマンスだったと思っています。

ただ、トランプさんはあまり難しいことを考えない人。だから、その翌々日には韓国で独島(トクト)エビを食べて、元慰安婦とハグするなんてことをやって問題になる。少し昔の話になりますが、私がかつて外務省の東京サミット準備室で夫人班という部署にいたときに、来日する各国の首脳夫人の食事メニューの内容物に好き嫌いがないか、事前に先方に聞くという仕事を任されたことがありました。

宗教タブーなどがない限り、基本的には料理は平等に出すことになるわけですが、念のためにそういったチェックがあるんですね。その経験から推察するに、トランプがエビを独島エビと知らずに食べたということは考えられない。まぁ、トランプまでその話が上がっていたかはわかりませんが、ホワイトハウス側は「あぁ、これは日韓関係の面倒に巻き込まれるなぁ」と思いつつ韓国側の要請に渋々応じて、GOを出したのでしょう。

元慰安婦が同席したことも、アメリカは保安上、出席者をすべてチェックしていますから、知らないということはない。そうすると、日本のマスメディアが報じているような、「シンゾウへの本物の友情」「親しい関係として日本のことを考えてくれる」という思い込みとは程遠い実態であることがわかると思います。

鈴木 11日には米ロ首脳会談をアメリカが一方的にキャンセルし、ロシア側は怒り心頭になりましたね。

佐藤 この原因は、パラダイス文書にあると私はみています。アメリカのロス商務長官とロシア企業の関係が表沙汰になって、アメリカでは大スキャンダルになっているでしょう? これについて、「両国の首脳で何を話し合いましたか?」などと会談後に質問攻めに遭うことを、トランプはなんとしてでも避けたかった。

本来は両国の仲が良いことを示す重要な機会であるのにもかかわらず、アメリカの内政要因で会談を蹴っ飛ばしたんです。この件からわかることは、北朝鮮問題についてロシアと協議するより、パラダイス文書のほうがトランプにとっては重要だということ。彼は“そういう人”だということをよく理解しておかないとダメなんです。

なので、日本のマスメディアはトランプを、「意外とマトモな人だった」とか、「トランプさん大歓迎!」という観点で見てはいけない。基本的に彼は、国際政治の構造や両国間の信頼関係などについてはあまりわかっていないんですから。個別の局面において、自国の利益を極大化できればいい、という短期的視点だけで外交を展開していると思うんです。なので、われわれはトランプに対してもう少し批判的な視点も働かせないと、今後さらに損をするのではないかと私はみています。

(撮影/五十嵐和博)

●鈴木宗男(すずき・むねお)

1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。衆議院議員時代から長年北方領土問題の解決のため、日々奔走している。今年、公民権が7年ぶりに回復し、衆院選に出馬。衆議院議員の鈴木貴子は長女

●佐藤優(さとう・まさる)

1960年生まれ、東京都出身。外交官時代は、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として精力的に活動中

■「東京大地塾」とは? 毎月1回、衆議院第二議員会館の会議室で行なわれる新党大地主催による国政・国際情勢などに関する分析・講演会。参加費無料で鈴木・佐藤両氏と直接議論を交わすことができるとあって、毎回100人前後の聴衆が集まる大盛況ぶりを見せる。次回は、12月21日(木)14時?。詳しくは新党大地の公式ホームページへ