東京都の小池百合子知事(希望の党代表、左)は安倍晋三首相(自民党総裁、右)に3回にわたって質問した

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東京都の小池百合子知事が率いる希望の党は、衆院選(2017年10月10日公示、22日投開票)で単独過半数の233議席以上を確保して政権奪取を目指す。だが、2017年10月7日に東京・六本木で行われた主要8政党による党首討論会では、小池氏は安倍晋三首相(自民党総裁)への対決姿勢を「封印」した。

小池氏は安倍氏に3回質問する機会があったが、いずれも安倍氏への直接の批判を避けた。共産党から安倍政権との違いを聞かれて小池氏が答えたのは「しがらみがないということ」。希望の党が公約の柱にしている「消費税増税凍結」「原発ゼロ」「憲法改正」でも、討論会の中で小池氏が安倍政権との違いをアピールすることはなかった。

外交、安全保障で安倍政権と違えば「これまでの私の役割が否定される」

討論会終盤、希望の党を「自民党の補完勢力」だと批判している共産党の志位和夫委員長が、安保法制や原発再稼働容認などで「希望」と自民党の足並みがそろっていることを改めて指摘し、

「国の政治の根幹部分は、自民党とどこが違うのか」

と質した。これに対して小池氏がまず答弁したのは、安倍政権との共通点だった。

「私は安倍政権のもとにおいて、外交、安全保障、NSC(国家安全保障会議)の設立などに携わり、かつ、防衛相に任命していただいた。そういった点で違いはない。もしあったならば、これまでの私の役割が否定されてしまうということでもある」

その上で「違い」にも言及を試みたが、以下のように「しがらみの有無」「受動喫煙の対応」に触れたところで時間切れになってしまい、それ以上は明らかにならなかった。

「何が違うかというと、しがらみがないということ。新しい党でございます。受動喫煙について考えていただきたいと思います。東京ではすでに進んでおります」

「12のゼロ」の5番目に「受動喫煙ゼロ」

希望の党は10月6日に発表した衆院選向け公約で「12のゼロ」を目指すことを打ち出している。そのうち5番目に出てくるのが「受動喫煙ゼロ」。公約発表会見では、前日の10月5日、都議会で子どもの受動喫煙防止を目指す条例が成立したことを紹介し、東京都が

「受動喫煙ゼロということを国に先駆けて進めている」

とアピールしたばかりだった。

小池氏は討論会で、(1)北朝鮮情勢が緊迫する中で解散に踏み切った理由(2)中国と米国が連携した際に日本の存在感をどう高めるか(3)憲法9条3項に自衛隊について書き込んだ場合、防衛相と自衛隊の関係はどうなるのか、の3点について安倍氏に質問したが、これらの質問で「希望」と自民党の対立点が明確になることはなかった。