教師の胸倉をつかむ生徒(画像は投稿動画より)

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学校法人「博多学園」が運営する博多高校(福岡市)の1年の男子生徒が、授業中に男性教師に殴る蹴るの暴行を加える様子をおさめた動画が2017年9月28日深夜、ツイッターに投稿された。

学校側は29日昼のJ-CASTニュースの取材に、同校生徒による暴行で「間違いない」と認めた。警察に被害届は出さず、学校側で問題の生徒の指導を行うという。

「笑ってるクラスの奴らも同罪」

問題視されている動画は約40秒の長さで、授業中に黒板に向かう男性教師のポケットを1人の男子生徒がまさぐろうとするシーンから始まる。教師がこれを拒否すると、生徒は右足で教師のふとももを2度にわたって小突く。すると、教室中から大きな笑いが漏れる。

この生徒はその後、大きく右足を振りかぶって後ろから教師の腰あたりを2度にわたって強く蹴りつける。さらに続けて教師の顔付近を殴打し、胸ぐらをつかんで詰め寄る。これに教室の生徒たちは再び爆笑。なかには、教師に向けてのものか「お前、ザッコ」との野次を飛ばす生徒も出ていた。

こうした動画の内容に、ツイッターやネット掲示板では、

「退学っていうか逮捕しろよ」
「笑ってるクラスの奴らも同罪や。先生が手を出せないからって調子乗り過ぎ」
「見ていて胸糞悪い。学校は毅然とした対応を取ってほしい」

などと生徒らの行動を厳しく批判する投稿が殺到。さらにネット上では、暴行を振るった生徒の個人情報を「特定」する動きが出たり、博多高校の「Wikipdia」ページが改ざんされたりするなど、騒動は大きな波紋を広げている。

なお、この動画を公開したツイッターユーザーはJ-CASTニュースの29日の取材に応じ、動画はトラブルが起きたクラスに所属する友人から提供されたものだと説明。そのあまりの内容に憤りを感じ、ツイッターで公開することに決めたという。

教師は「精神的に強いショックを受けている」

博多高校の内尾実副校長は29日のJ-CASTニュースの取材に対し、問題の動画は28日夕の1年生クラスの「日本史B」の授業中に撮影されたものだと説明。暴行を受けたのは23歳の新任教師だという。

詳しいトラブルの経緯については、次のように説明した。

まず、問題の生徒が授業中にタブレット端末で動画を見ていたことを、教師が「授業に集中しなさい」などと何度か注意した。それでも生徒は動画を見ることを止めなかったため、教師が授業中にタブレットを取り上げた。これに生徒が激高し、動画のような暴行を振るったという。

なお、内尾副校長によれば、暴行を受けた教師本人の意向もあり、警察に被害届は出さず、学校側で問題の生徒を指導することに決めた。教師に大きなけがはなかったが、

「ここまでの騒ぎになってしまった事で、精神的に強いショックを受けている様子だった」(内尾副校長)

とした。問題の生徒への処分は検討中だという。

なお、学校側はクラスの生徒が暴行を止めようとせず、トラブルを笑ったり囃し立てたりしていたことも問題視。29日の授業終了後に全校集会を実施し、改めて注意と指導を行う予定だとしている。