【光州聯合ニュース】日本による植民地時代に炭鉱に強制徴用された韓国人被害者、故李相業(イ・サンオプ)氏が徴用先の惨状をつづった手記「死地を越え帰郷まで」(韓国語版)の第2版が発行された。

 韓国の市民団体「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」によると、第2版には日本の「朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」の矢野秀喜・事務局長の文も新たに収録された。
 矢野氏は、日本政府や一部の学者が「植民地支配や強制連行はなかった」「炭鉱の現場で日本人と朝鮮人の待遇に差はなかった」などと主張している状況だが、李氏の手記が歴史の歪曲(わいきょく)に反論する実証資料であると強調した。
 矢野氏は、李氏が動員された上山田炭鉱について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」(全23施設)に含まれている端島炭坑(軍艦島、長崎県)と同じく三菱の所有だったと指摘。その上で、手記を通じ炭鉱での朝鮮人労働者の待遇がどのようなものだったのかを知る契機になるとした。
 また、第2版には李氏が「地獄のような所」と表現した上山田炭鉱について、近代史研究家の竹内康人氏が行った調査の内容の一部も紹介されている。
 竹内氏は、上山田炭鉱で死亡した朝鮮出身の労働者のうち名前が確認された人は66人だと明らかにした。同炭鉱があった福岡県の記録には1944年1月までの死者が44人となっている。
 李氏は1943年11月、15歳のときに上山田炭鉱に連行され労働を強いられた。先月26日に亡くなった。
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