誰の期待も裏切らない、自信を持ってオススメできる作品



──まだ2話までですが、印象的なセリフやシーンはありましたか?

島の「森くんの気持ちもわからないで」っていうセリフがね(笑)。

――古代の婚約者である森 雪の心中まで、島は気遣っているんですよね。

やっぱり島にしか言えないセリフだなあと。古代って、向こう見ずなところがあって(笑)、突っ込んでっちゃうから、それを諭すのは島の役目だと思うんですね。

──さきほどもおっしゃっていたように、今作は気持ちのうえで、ふたりの距離が少し離れたところからスタートしています。

いまはふたりが違う方向を向いていて、袂を分かっている感じもしますが、少なくとも心は通じ合っている。だって、日常において…たとえば、「俺、新しい会社を興そうと思うんだ」、「いやあ、嫁さんのことも考えてやれよ」って言えるとしたら、相当仲が良い関係ですよね(笑)。心の交流としては、かなり深い関係にあるふたりなんだなってことがよくわかるシーンでドキッとしました。



──そのあとの古代の「お前になにがわかるんだ」みたいな発言も、島にはワガママが言えるのかなあと(笑)。

そうそう、ワガママ坊主なんですよねえ(笑)。面白いですよねえ。

──改めて、『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』第一章「嚆矢篇こうしへん」の見どころを教えてください。

前作『宇宙戦艦ヤマト2199』のときは、始まる直前まで、「え? ヤマトやるんだ?」って…言葉をあえて選ばずに言うとすれば、不安感みたいなものがあったんですよね。でも、始まってみたらそんな思いもあっという間に払拭されて。僕のまわりにも、オリジナルのヤマトが大好きな人たちがいっぱいいるんですけど、彼らも「本当に良かったよ」って言ってくれたんですね。それに加えて「『さらば宇宙戦艦ヤマト』はやるの?」と(笑)。

──『宇宙戦艦ヤマト2199』が始まったばかりのときですよね?(笑)

そうなんです(笑)。2199が始まったばかりなのに、「“さらば”もやってほしい」って、僕にリクエストされても…っていうぐらい(笑)、みんなが言うんですよね。だから今回、そのみんなが期待していたものが始まるというのは、とても意味のあることで、ものすごく期待感が高まっている状況です。



──そのぶん、プレッシャーもあるのではないでしょうか?

一章に関わってみて、「あ、これは絶対に大丈夫だ」と確信できるフィルムができていると思ったので、これからも自信を持って、僕のまわりの先輩たちに「今回も良いです」と。「すごい良いのができそうだから、絶対に劇場へ観に行ったほうが良いですよ」って話をしようと思っています(笑)。

──前作からヤマトのファンになったという方も多いですね。

もちろん、過去作を知っている方だけではなく、2199からファンになった方にもオススメできる内容になっています。2199の息吹がそのまま受け継がれているので、前作を楽しんでいただいた方も楽しめる、誰の期待も裏切らない……誰をターゲットにするかはモノ作りの基本だと思うんですが、今作もオールラウンドな気がしますね。前作以上にオールラウンダーな作品になったと思いますので、ぜひ観ていただきたいです。

──そういう意味でも第一章は、これまでヤマトを観たことがなくて、今作から観るという人にもわかりやすい構成になっています。

そうですね、今作から観ても期待感が高まると思います。今回初めて観られる方には「あ、この前の話があるんだな」ってわかるような作品になっているので、前作も観ていただければ、ますます楽しめるのではないでしょうか。両方楽しんでいただけるといいなと思います。



絵にあわせてリアルタイムにアフレコするのは日本だけ



──ところで、アフレコの現場でお芝居をされるにあたって、声優さんたちはどのような準備をされるのでしょうか?

準備ということで言うと、実はなにかを構えてやることはほとんどしないですね。演劇や映画、テレビドラマ、アニメなど、いろんな表現メディアがあって…なかでも演劇は、時間をかけて稽古して、みんなで積み重ねて修練していくスタイルを徹底して空間を作っていきますが、その一歩先にあるのが僕はアニメだと思っているんです。

──というのは?

アニメの場合、その空間作りを……朝、スタジオに集まった瞬間、ポーンとみんなで一気にやらなきゃいけないんですね。だから実はすごくハードルの高いことをやっていて。僕はいま若い子たちに、アニメについていろいろ教えたりもしているんですが、「とても難しい表現メディアにいるんだよ」ということを伝えているし、僕も改めて実感しています。

──その“空間作り”は、たとえば今作においては、どんな感じなのでしょうか?

やっぱりみなさんプロ中のプロで、現場に入った瞬間にもうヤマトの乗組員だったり、ガミラスの人だったりするんですよね。その瞬間、それぞれに持ち寄ったフィールド…イメージする力ですかね? そういうものが、スッと集約する瞬間があるんです。だから、朝からいきなりテンションが上がってもお芝居が成立するんでしょうね。そういう意味でも、特別な準備というよりは、本をよく読んでくることと、人の話をよく聞くことですね(笑)。

──人の話をよく聞く、とは?

セリフをよく聞くことです。相手のセリフがどう出てくるかによって、空間というのは絶対的に生まれるので。実はいま、アフレコの段階では100%絵が入っているわけではないので、芝居をするうえでのヒントって少ないんですよね。テレビドラマだったらセットがあるし、演劇だったらステージがあるんですけど、アニメはそういうものが相当少ない状況で…。

──そのなかで、足がかりとなるのは…。

やっぱり、掛け合っていくセリフのバランスの取り方ですね。それから…みなさんプロですから、生きたセリフを出してきます。それに対して、ちゃんと受け止めて、自分も的確に返すというリアクションの連続で空間が積み重なっていくのがアニメですね。



──さらにアフレコ現場では、キャストがマイク前で目まぐるしく入れ替わりながら収録していきますよね。

そうですね。アニメのアフレコにおいて、日本は世界的にも珍しい収録の仕方をしているんです。たった3本くらいのマイクで、みんなが立ち替わり入れ替わり、リアルタイムに絵にあわせて録っていくっていうのは、世界中探しても日本しかないんですよね。「いかに演劇的にアニメーションを録るか」ということに、いまだにチャレンジしているメディアなので、とても貴重ですし、役者のやりやすい環境でもあるというのが現状です。

──そう考えると、アニメのアフレコ現場は思った以上にインプロビゼーション(即興)的なものなんですね。

そうですね。もちろん、セリフが決まっているのでインプロまでには辿り着けないんですが、インプロがベースにあるのは間違いないと思います。ただ…演劇の場合、役者がある程度までは間尺を決めることができるんですが、アニメは間尺が決まっているので、インプロという精神を持ちながらも、FIXというお芝居の方式を取り入れなきゃいけないっていうのが…すごくハードルが高いですよね。

──“間尺”というのは?

たとえば演劇の場合は、与えられた役柄の間で、自由にしゃべっていくことができますが、アニメのアフレコの場合は、役の間が提供されている状況なので…ここで息を吸って、次にこのセリフ、次の間はここまで、とかって決まっているので、それをつねに理解しながらやっていかないといけないんですね。

──理解しないと演じられないということですか?

そうなんです。「なぜここで息をするんだろう?」とか、「なぜここで間が空くんだろう?」とかっていうことを、ちゃんと自分の身体に落とし込んで、インプロビゼーション的に展開していくっていうことをやらなきゃいけないので。考えることと感じることを同軸に動かすのがお芝居だとすると、最もハードルの高い仕事に近いのが声優かもしれないですよね…と、自負を持ってやっております(笑)。



【プロフィール】
鈴村健一(すずむら・けんいち)/9月12日生まれ。大阪府出身。A型。インテンション代表。1994年に声優デビュー。2008年、第2回声優アワードにてベストパーソナリティ賞とシナジー賞を受賞。主な出演作に『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(シン・アスカ)、『銀魂』(沖田総悟)、『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズ(聖川真斗)、『黒子のバスケ』(紫原 敦)、『おそ松さん』(イヤミ)など。ソロアーティストとしては2008年にシングル『INTENTION』でデビュー。2016年6月に山梨での野外ライブ『鈴村健一 満天LIVE 2016』を行なった。また、出演する声優たちが90分間すべてをアドリブで演じる、大人気舞台劇『AD-LIVE』の総合プロデューサーを務めている。


■『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第一章「嚆矢篇こうしへん
2月25日(土)より、全国15館にて2週間限定劇場上映!
劇場にて特別限定版Blu-ray先行発売
シリーズ全七章 劇場上映決定
http://yamato2202.net/

©西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
※崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

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■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年2月24日(金)12:00〜3月2日(木)12:00

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