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●Firefox 51のインストールと新機能
米Mozillaは、1月24日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 51」をリリースした。前回のアップデートは、50.0.1でセキュリティに関する修正のみであった。開発スタッフのクリスマス休暇のため、新機能の追加などは行われなかった。2017年のリリーススケジュールは現時点で、以下の通りである。

・Firefox 52 - 2017年3月7日
・Firefox 53 - 2017年4月18日
・Firefox 54 - 2017年6月13日
・Firefox 55 - 2017年8月8日
・Firefox 56 - 2017年10月3日
・Firefox 57 - 2017年11月28日

2016年では、予定されていたリリース予定日が変更になったこともあったが、2017年も変更になる可能性もある。とりあえずの目安くらいと考えておきたい。

○Firefox 51のインストール

リリースからほぼ1日過ぎた1月26日現在(日本時間)、自動アップデートができない状態が続いている。ここでは、インストーラーをダウンロードし、アップデートを行おう。まず、インストーラーのダウンロード方法であるが、2つある。FirefoxのWebページからインストーラーをダウンロードする(図1)。

自動的に、インストーラーのダウンロードが始まる。もう1つは、MozillaのFTPサイトからダウンロードする(図2)。

上位ディレクトリでは、β版や以前のバージョンなど、これまで公式にリリースされたすべてのバージョンが入手可能である。新規インストールと同じく、ダブルクリックでインストールの開始となる。

アップデートの場合、図4のように、更新の確認が行われる。

あとは、画面の指示通りにインストール作業を進める。以降で、Firefox 51の新機能や変更点を見ていこう。

○Firefox 51の新機能

Firefox 51の新機能であるが、以下の通りである。

・パスワード保存のダイアログ上で保存前のパスワードを確認可能に
・URLバーにズームボタンが追加
・GPUが搭載されていない環境での動画再生性能が向上。動画再生時のCPU使用率が下がり、フルスクリーン再生時の体験が向上
・"submit"イベントが発生しない場面でも、パスワードを保存可能に
・FLAC(Free Lossless Audio Codec)の再生に対応
・WebGL 2に対応。その結果、transform feedbackに代表される高度なグラフィック描画機能が利用可能に。また、テクスチャ機能の改善や新しいシェーダー言語への対応も
・安全でない接続で配信されたログインページに対して警告が表示
・ジョージア語[ka]とカビル語[kab]に対応
・E10sが高速になり、タブの切り替えが高速に
・ブラウザのデータ同期の信頼性が向上
・ベラルーシ語[be]がロケールから削除

まず、注目はWebGL 2に対応したことだろう。3DグラフィックAPIのOpenGL ES 3.0の機能をベースに、3Dグラフィックのような高度な表現をJavascriptからコントロールできる。図5は、WebGL 2.0のサンプルを集めたWebサイトである。Firefox 51で、表示してみてほしい。

かなり高度な3D表現などが実感できる。ちなみに、前バージョンの50.1.0では、表示すらできない。次は、URLバーへのズームボタンの追加である。標準設定から拡大/縮小を行なった場合、その倍率が表示される(図6)。

そして、このズームボタンをクリックすることで、標準の倍率に戻る。また、セキュリティ面でも、安全でない接続で配信されたログインページに対して警告が表示される。具体的には、HTTPS接続ではない状態で、ログインなどを行うようなサイトである。従来は、安全なサイトは緑色の鍵が表示され、それ以外ではなんの表示も行われなかった。Firefox 51では、安全ではないサイトでは、鍵に赤色の斜線のアイコンが表示される(図7)。

今回のバージョンアップでは、最高レベルが5個、高レベルが6個、中レベルが10個、低レベルものが3個と合計24ものセキュリティアップデートが行われた。実行可能なJITコード割り当てによるASLRとDEPのバイパス、XSLの解放後使用などがある。早めにアップデートしておきたい。

●2017年に終了となるFirefoxの機能やサポート
○2017年に終了となるFirefoxの機能やサポート

Mozillaでは、2017年内にいくつかの機能やサポートを終了する。2017年の最初のアップデートにあたり、注意すべき情報として、こちらでもお知らせしたい。まず、Flash以外のNPAPIプラグインのサポート終了である。通常版では2017年3月を予定、ESR(延長サポート)版では2018年の中頃までサポートを継続する。この目的であるが、パフォーマンスやセキュリティのためにプラグインの機能をWeb標準のAPIに置き換えていくためである。ユーザーの多いFlashであるが、Flashコンテンツを有効化するには、ユーザーによる明示的なクリックが必要となる予定である。

次は、Windows XPおよびVistaのサポート終了である。通常版では2017年3月を予定、それ以降は、XP/VistaユーザーはESR版へ自動切り替えとなる。XPではMicrosoftのサポートは2014年に終了し、Vistaでは2017年に終了する。Firefoxの使用にかかわらす。サポートのないOSの使用は、セキュリティ上、問題が多い。この機会に移行を目指すべきであろう。Mozillaでは、XPおよびVistaのユーザー向けのセキュリティの更新は2017年9月まで行われる予定とのことだ(新機能の提供はない)。

最後に、従来型アドオンのサポート終了とWebExtensionsへの移行である。2017年4月のFirefox 53リリース以降、アドオンサイト(AMO)では従来型のアドオンの受け付けを終了する。そして、2017年11月のFirefox 57リリース以降、従来型のアドオンのサポートを終了する予定とのことである。従来型((XUL形式)のアドオンはブラウザ内部のアーキテクチャと相互依存が強い。一方で、コンテンツのプロセス分離を導入、新エンジンServoの実装など大きな変化を予定する。そのための措置となる。アドオンを使うユーザーは少なくない。問題となるのは、WebExtensionsに移行しない(できない)アドオンを使っているユーザーだろう。事前の周到な準備が必要となるだろう(この点については、また機会があれば紹介したい)。

●Mozillaの新ロゴが発表
○Mozillaの新ロゴが発表

Mozillaでは、2016年よりブランドアイデンティティーの再検討を進めてきた。その1つとして、Mozillaの新ロゴが発表された(図8)。

インターネットのURLを表す言葉「://」をデザインに取り込んだ。このロゴの利用に関する詳細、ロゴの精神などは、Open Design Blogを見ていただきたい(英文であるが)。

新しいロゴを使った動画も紹介されている(Mozilla Japanのブログでも閲覧可能である)。今後、このロゴを目にする機会が増えるだろう。上述した終了となるFirefoxの機能やサポートと合わせ、2017年はFirefoxが大きく変わる1年となりそうである。本誌でも適宜、取り上げていく予定である。

(c-bou)