中国ではモデルガン所持で逮捕される? (C)孫向文/大洋図書

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 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年10月、中国・天津市で露天商を営む51歳の女性が逮捕されました。女性はモデルガンで風船を割るという射撃場を経営していたのですが、「銃器保有罪」で逮捕され、16年12月27日に天津市の法院(裁判所)で執行猶予付きながら3年6ヶ月の実刑判決が言い渡されました。裁判の結果を不服に思った女性の家族がネット上に事の顛末を拡散した結果、国内で大きな反響を呼んでいます。

■モデルガン所持は重い犯罪?

 女性が射撃場に設置していたモデルガンはガス発射式のもので、日本では一般的に流通しているものですが、中国では以前より流通、販売が禁止されています。僕は小学生の頃、古本屋で見つけた香港の雑誌に掲載されていた日本製のモデルガンを見て強い購買欲を持ちました。そこで香港に住む親戚に購入をお願いしようとしましたが、上述の理由により泣く泣く諦めた思い出があります。

 中国で販売が許可されているモデルガンはゼンマイ式のもので、発射の威力はガス式に比べはるかに劣ります。しかも形状は小型でデフォルメされ、いかにも「子供のおもちゃ」といったものです。中国で本格的なモデルガンが禁止された理由は過去にモデルガンを使用した銀行強盗事件が多発したためで、僕は高校生のころ国の状況を把握した結果、モデルガン禁止に納得しました。

 女性は違法を行ったとはいえ、本来は実際の銃器所持者に適用される銃器保有罪が言い渡されたことが大きな話題となった理由です。過剰ともいえる対応の背景には、中国国民に対する中国共産党政府の「恐れ」が関係していると思います。

 中国には「草木皆兵」(相手の勢いなどに恐れおののくあまり、草と木など、何でもないものに対しても、自分の敵であるかのように錯覚しておびえること)や「風声鶴唳」(風の音や鶴の鳴き声を聞いた敗残兵が敵兵かと思い驚き恐れた)という四字熟語が存在します。圧政を行う中共政府に対し中国国民の不満が高まっていることは周知の事実です。今回の逮捕は国内で大規模な暴力革命が発生する前に、国民たちから武力を徹底的に奪おうという中共政府の意向の表れでしょう。

 似たような事例が過去にも存在します。2014年にはチベット自治区に住むチベット人たち調理用の包丁などが全て押収されたことがあります。また2015 年にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が中国で開催された際は、会場付近で刃物類の販売が一切禁止され、近隣住民の家庭の刃物類が全て押収され会議終了後に返却されるという事態になりました。数百年前の日本では反乱を防ぐために、民衆から武器を没収する「刀狩り」という政策が行われたという話を日本の友人から聞いたことがありますが、刀狩りが現在進行形で実施されているのが中国です。

 上述した「草木皆兵」、「風声鶴唳」になっている現状を見れば、中共政府が実際は脆弱な組織であることは明白です。僕は中国国民が一致団結すれば中共政府を打倒することは十分可能だと思います。そして民衆の不満が高まり続ける現在、近い将来、中国国内で大規模な暴力革命運動が発生するかもしれません。

著者プロフィール


漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。