「神ってる」が新語・流行語大賞にノミネート

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 25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島。その戦いぶりは、文字通り「神って」いた。

 その「神ってる」が、今年度の新語・流行語大賞にノミネート。1年の締めくくりも「神って」終われるのか、注目が集まっている。

 今シーズンの広島には『神ってる』以外にも、随所に名言が飛び出した。今回は広島ファンの筆者が選ぶ「2016年カープ名言集」を紹介したい。

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■迷将から名将へ。言葉でも魅せた緒方孝市監督

「広島の皆さん、全国のカープファンの皆さん。本当にお待たせしました、おめでとうございます!」
(緒方孝市監督/9月11日/東京ドーム)

 まずは、今シーズン見事、チームをぶっちぎりの優勝に導いた緒方監督の、優勝決定後のインタビューで発せられた名言を紹介しよう。

 両手を頭上に広げ、叫びながら発せられた「おめでとうございまーーす!」は、さながらコメディアンのよう。無口、頑固と思われていた、緒方監督のイメージを一新させた。

 CS突破の際やリーグ優勝報告の場など、数々の場面でも発せられたこの言葉。いまや、緒方監督の代名詞にもなりつつある。

 昨シーズンは最終戦でファンへの挨拶がなかったことを批判された緒方監督。今シーズンは、最高の挨拶でその批判を見返すことができた。

 迷将から名将へ。緒方監督の急成長を物語る名言だった。

■「最高です!」だけじゃない!?〜お立ち台での名言

 今シーズン大ブレークした、鈴木誠也がお立ち台で発した「最高でぇぇぇぇす!」は、本家の阿部慎之助(巨人)を凌ぐほどのインパクトを与えた。しかし、それ以外にも、心揺さぶる名言が数多くあった。そのいくつかを紹介しよう。

「覇気で打ちました」
(安部友裕/5月26日/マツダスタジアムほか)

 イマイチ定着はしなかったが、こちらも今シーズンにブレークした安部友裕が発した言葉だ。

 以前、安倍は覇気がないことを指摘されたことがあり、それを逆手に取ったのが「覇気で打ちました」。常にベンチ最前列で声を出し続けてきた安倍。今シーズンは覇気の塊であった。来シーズンは、お立ち台の数を増やし、ぜひとも「覇気」を浸透させてほしい。

「マジックとか初めてでよくわからない」
(菊池涼介/8月26日/ナゴヤドーム)

 ひょうきん者の菊池らしい名言? 今シーズン、積み重ねた白星は球団史上最多の89勝。これは、他球団の結果などを気にせず一戦一戦を確実に戦っていった何よりの証拠。冗談気味に聞こえたヒーローインタビューだが、本当にマジックがいつ点滅するかなどは気にしていなかったのかもしれない。

「レギュラーとか出てない選手とか、そういうのは関係なく、フィールドに立つ以上、全員がレギュラー」
(赤松真人/6月14日/マツダスタジアム)

 史上初のコリジョンサヨナラを決めた赤松の名言。普段、代走、守備固めで出場するスーパーサブが決めた大仕事に球場は大興奮。

 長年、スーパーサブとして活躍してきた男だけに、この言葉には重みがある。ちなみに、この試合をきっかけに広島は11連勝。優勝へのターニングポイントとも呼べる一戦だった。

■去りゆくベテランが残した名言

 今シーズンを限りに、広島でも数名のベテラン選手がユニフォームを脱いだ。そのなかの1人、廣瀬純の名言を紹介したい。

「それまで自分がやってきた野球に対して、失礼がないようにしたかった。野球に対して、変な態度をとらないように、常に思っていた」
(廣瀬純/9月25日/マツダスタジアム内での引退会見)

 ここ数年、出場数が激減し、2軍暮らしが長かった廣瀬。その当時の苦しい心境を問われての発言だ。

 主力選手でありながら、出番を失った苦しさは計りしれない。しかし、そこで腐るのではなく原点に戻り、野球に対して真摯に向き合った。その言葉からも廣瀬の人間性が垣間見える。

 引退試合でも多くの後輩が涙を見せたように、慕われていた廣瀬。そんな廣瀬の誠実さが伝わる名言といえるだろう。

 ここで挙げた以外にも多くの名言で、シーズンを盛り上げた広島。来シーズンも、心揺さぶる名言が生まれることを大いに期待したい。

文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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