豊富な色彩をそろえた次世代携帯ゲーム機「ゲームボーイ・ミクロ」を紹介する任天堂の岩田社長(撮影:吉川忠行)

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任天堂<7974>の岩田聡社長は7日、都内で開いた経営方針説明会で、ゲーム市場の今後の動向について「日・米・欧だけを対象にしたのではいずれ成長が鈍化することは自然に予想できる」とした上で、「中国での市場開拓はこの2年ぐらいが勝負」と話した。

 現地法人「IQ」を拠点に展開する中国戦略について、岩田社長は「新商品を日米欧で出してから中国に持ち込むまでのタイムスパンをどう短くするかが重要。IQが古い商品を持ち込む会社と中国で見なされているうちは、大きな成功は望めない」と述べた。

 財務政策にからみ、現金を保有しすぎていているとの投資家の指摘には、「ゲームは実用品ではないので、何がお客様に満足していただけるか、事前に理詰めで判断できない」とし、「一度失敗しても、会社が傾かない強さが必要。会社の売り上げやビジネスの規模に比して、相対的に大きな流動資産を持っているように見えるのは、そのリスクの恐ろしさを認識しているから」と説明した。

 ソフト会社などのM&A(企業の合併と買収)の可能性については「買って得られるものは会社という入れ物。開発者は会社という入れ物に属してはいるが、その人たちには辞める自由がある。辞めてしまえば、その箱を買うことは無意味」と話し、「われわれが経営判断の主導権をもって、こだわりを実現できるような形が基本。どんな良い条件であっても主導権を失ってまで、他と提携するのは避けたい」と慎重な姿勢を示した。【了】

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