今シーズンからマンチェスター・シティの指揮を執るグアルディオラ監督。ポンド安もどこ吹く風で、早くもギュンドアンを獲得するなど経済力にモノを言わせた補強に余念がない。(C) Getty Images

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 先々週、イングランドはヨーロッパで2つの終わりを迎えた。ひとつはEURO2016、決勝トーナメント1回戦、アイスランド戦での惨敗。そしてもうひとつは何よりも重大なEUからの離脱だ。
 
 いずれもEU離脱派、アイスランドのサポーターでない人々にとってはどちらもショッキングな出来事であった。
 
 とくにEU離脱の問題は世界的なダメージを呼び込むなど非常に深刻な問題となっている。はたして、この問題は我々が愛するフットボールにどのような影響をもたらすのだろうか。
 
 EU離脱の波によって今すぐに何かが起きるということは明確になっていない。しかし、一般的に考えられているのは、外国人プレーヤーがイングランドでプレーするために今より厳しい条件満たさなければならないということだ。
 
 今まではEU圏内国籍を持ったプレーヤーは、代表クラスの選手でなくてもプレミアリーグではプレーすることが認められていた。
 
 しかし、EU離脱となればエヌゴロ・カンテ(レスター)、ディミトリ・パイエ(ウェストハム)といった代表経験も浅いプレーヤーは出場を認められない可能性があるのだ。他にもそのルールに引っかかる可能性のあるプレーヤーは300人余りと言われている。
 
 これはイングランドのクラブが新しい選手を獲得する際の方針を改める必要があることを意味している。もちろん現在所属している選手たちの契約は保たなくてはならないが、今後の移籍に影響を及ぼすことは間違いないだろう。
 
 おそらくクラブはこれで多くの外国人プレーヤーに頼ることができなくなる。しかし、それでユース年代のシステムが今よりも確立され、自前の選手を各クラブが持つようになれば、長期的に見て、イングランドにとっても好影響であるはずだ。
 
 EURO2016で示されたとおり、イングランド代表は国際舞台で戦うために何かを変える必要がある。もし、ユース年代が活気づけば、その変革の手助けとなることだろう。
 
 さて、何度も言うようにEU離脱でイングランドのフットボール界に何が起こるかは現時点では不透明である。
 
 今夏の移籍市場ではプレミアリーグクラブの支出が増えるとの話もある。
 
 イングランドのクラブが海外から新たに選手を買いつけるためには、ポンドの価値が下がったために、価値の高いユーロで買う為には10パーセント割増しで払わなければならない。
 
 よって、各クラブはEU離脱による規制変更があるかもしれないと、7月1日の移籍市場のオープンと同時に素早く買い付けを始めるという見方が強まっている。
 
 ここまで話してきたすべてのことに加え、ビッグネームの獲得を今後も続けていけるようにプレミアリーグは移籍金が増える、労働ビザの申請が厳格化するEU圏の選手の買い付けなど新しいルールに適応するための方法を協議する必要があると私は思う。
 
 結局、フットボールはエンターテイメントだ。人々は不確かで、経済が難しい時代にこそ娯楽を求めるのだ。プレミアリーグはそんな彼らの望みを叶えられれば、必ず成功するはずだ。
 
文:スティーブ・マッケンジー