芸能人の私生活を覗き見する報道、どこまで許される?

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女優の堀北真希さん(27)の「妊娠」をスクープした週刊誌がブーイングを浴びている。安定期前のナイーブな時期であることから、「本人が発表するまでそっとしておくべきだった」とする声が相次いでいるのだ。

週刊誌をはじめとするマスコミが著名人のプライベートを報じるのは、今に始まったことではない。しかし、こうした報道への嫌悪感は徐々に高まってきているようだ。

事務所「大事な時期ですので、温かく見守っていただければ」

妊娠を報じたのは、2016年6月21日発売(首都圏など)の「女性自身」(光文社)。同誌は6月上旬、堀北さんが都内の総合病院の産婦人科に通院する姿をキャッチした。誌面では通院後の写真に加え、「最近妊娠したそうだ」「予定日は年末のころだと聞いた」という関係者の証言も掲載した。

これを受け、堀北さんの所属事務所は各メディアの取材に「妊娠しているのは事実です」と報道を認めた。出産は17年1月の予定といい、「まだ初期で大事な時期ですので、温かく見守っていただければと思います」とコメントした。

堀北さんといえば2015年8月、俳優の山本耕史さん(39)との電撃婚で日本中を驚かせたばかり。かねてから「たくさん子どもが欲しい」と語っていたが、結婚から1年経たずして子宝に恵まれたようだ。

インターネット上では夫妻を祝福する声が上がった。だが、同時に目立つのが妊娠報道に対する疑問や批判の声だ。

通常、妊娠から出産までは約10か月間。1月に出産予定ならば、現在は3か月前後とみられる。一般的に「安定期」(5か月目〜)に入るまでは流産のリスクが高く、体調も不安定だ。そのため、

「妊娠初期で大々的に報じるとか神経を疑う」
「安定期に入るまでそっとしといてあげたらいいのに...」
「本人や事務所が発表するまで待つべきだと思う」

といった声が相次いでいる。

6月21日放送の「あさチャン!」(TBS系)では、司会の夏目三久さん(31)も「妊娠3か月の時点で週刊誌の報道によって明るみに出たというのがね、ちょっと報道が過熱しすぎな気がしますね」と渋い表情。「母子ともに健康であるように、そっと見守りましょう」と呼びかけた。

海老蔵・麻央問題でネットも敏感に?

著名人の私生活を暴く報道は、かねてから週刊誌の「十八番」だった。しかし、最近はそうした週刊誌やスポーツ紙によるスクープ記事、とりわけ妊娠や病気などデリケートな内容を扱った記事に対しては、ネット上を中心に反発の声が高まっている。

象徴的だったのが、乳がんを患ったフリーアナウンサー、小林麻央さん(33)をめぐる報道だ。6月9日付のスポーツ報知が「スクープ」したことを受け、夫である歌舞伎俳優、市川海老蔵さん(38)が会見で説明することを余儀なくされた。

海老蔵さんは会見で取材自粛を要請したが、翌10日には麻央さんの実家周辺等で取材や盗撮行為があったといい、ブログで繰り返し自粛を求めることとなった。17日にも「雑誌の方々、静かに見守ってください」と訴えている。一連のブログは大きな反響を呼び、ネット上では掲載誌の不買運動を呼びかける声すら出た。

「私生活報道」に対する嫌悪感は、美談調の記事にも向けられている。6月14日発売の「女性自身」に掲載された音楽プロデューサー、つんく♂さん(47)の記事がその一例だ。

つんく♂さんは、喉頭がんのため2014年10月に声帯を全摘出し、「食道発声法」の訓練を続けてきた。記事は、そんなつんく♂さんが都内の高級レストランで妻と結婚記念日の食事をする様子を写真付きで報じたもので、夫婦が筆談ではなく、「会話」をしていたことを伝えている。

全体としては夫婦愛の感じられる温かな内容だったものの、ネット上では同記事にさえも「いい話だけど、だからってプライバシーに踏み込むのはどうよ」「こんなの盗撮じゃん」「マスコミもそっとしてればいいのに」との声が目立った。