新しい都市で鳴るべき音楽とは:「Sound & City」で聴くagragh・Hifana・Seiho・tofubeatsの試み

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音の未来が知りたければ、音楽家という音のプロフェッショナルたちに聴けばいい。4/28・29に開催される複合型音楽イヴェント「Sound & City」に登場する4組のアーティストをご紹介。【イヴェントは終了しました】

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これからの都市には、どんな音があるのか。そんな漠然とした想像を働かせてみると、そこには不思議なほど「静かさ」しかないような気がする。電気自動車は、ガソリン車とは比べものにならないほど音無く走り、掃除機やエアコンといった家電製品は雑音が少ないものほど性能がいいとされる現代社会を考えるに、未来では音の排除がより進むはずだからだ。

去年の10月に開催されたカンファレンス「WIRED CITY 2015」のために、tofubeatsが書き下ろしてくれた「Unseen City」という曲は、そんな静かな未来の環境のなかに溢れる、微細な音を収集して再構成した音楽だった。

tofubeatsによれば、 空港から移動してホテルのような寝るところまで帰っていくまでのプロセスが表現されているという。

インターネットから出発し、いまや誰もが知るトラックメーカーから生み出された静かな音楽に度肝を抜かれたのは、普段との作品とのギャップが理由ではなく、その「音楽家」としての社会へのまなざしの鋭さ、そして未来を表現する音楽というアウトプットの可能性ゆえだ。

そう音楽家とは、いわずもがな音のプロフェッショナルである。もし未来の音のことを知りたければ、彼らにたずねてみるのが1番の近道なのだ。4月28〜29日に開催される「Sound & City」では、tofubeatsをはじめとする、4組のトラックメーカーを招聘し、音もしくは言葉でその未来への考えを聴く機会を設けた。

Seihoの4年ぶりの新しいアルバムは5/20発売予定。ジャケットには大きく活け花があしらわれている。

4月28日(木)の20:00からアークヒルズカフェでチルアウトライヴ(有料:入場料¥2,000〈1ドリンク付き・当日券あり〉)を聴かせてくれるSeihoは、2013年中田ヤスタカらと並びMTV注目のプロデューサー7人に選出され、この3月にUSツアーを敢行するなど注目が集まるビートメイカー兼DJ兼プロデューサー。今回は「活け花とモジュラーシンセ」をテーマにライヴをしてくれるという。

最近もっぱら活け花に凝っているSeihoは年初に「イカと生け花」を展示するクラブイヴェント「apostrophy」を東京で行ったばかり。残念ながら、そのイヴェントの全貌は明らかになっていないので、当日の演奏への妄想は膨らむばかりだ。実際WIRED.jp編集部でも、その内容を把握しているのは編集長だけだ…。

今年2月に発売されたagraphの3rdアルバムからの一曲。アルバムのリリースは実に5年3カ月ぶりであった。

つづく4月29日(金・祝)の13:00からカンファレンスセッション(有料:1日券¥3,500・当日券あり)に登場するのは電気グルーヴのサポートやアニメ・映画への音楽提供で知られる牛尾憲輔のソロユニット・agraph。あの小説家・円城塔をして「形容を思いつかない音がある。語彙が足りない。頭が悪いせいならよいが、その音が言葉の外にあるのだとしたら」と言わしめた彼は、アルバムの制作を「クリエィティヴのR & D」と考えているという。その真意とは一体何なのだろう?人工知能にも関心があるというagraphは、音楽とシンギュラリティといったテーマも語ってくれるかも知れない。

「朝が来るまで終わる事のないダンスを」のMVでは、東京という街があます所なく描き出されている。

そして、カラヤン広場の特設ステージで4月29日(金・祝)の17:30から45分にわたるフリーライヴを披露してくれるのがtofubeats。「Sound & City」のためだけのアンビエント・セッションが用意されている。

建築を学んだこともあるという彼の都市への洞察、そしてこれまでの作品ではみせてこなかった作風が体験できる、またとないチャンス。音楽家としての彼の奥深さを堪能してほしい。

プログラミングなどを使用せず、リアルタイムにサンプラーのパッドを叩いてビートを刻む独特のスタイルでライヴが行われる。

最後に「Sound&City」を締めくくる4月29日20:00からのアークヒルズカフェでのライヴセッション(有料:入場料¥2,000〈1ドリンク付き〉・当日券あり)では、Hifanaが登場する。

民俗音楽の影響を受け、アラサトという西アフリカの民族楽器の名手としても知られる彼らは会場全体でリズムを奏でる体験型ライヴパフォーマンスを敢行する。

これまでご紹介してきた彼らの演奏やトークは、そのコンセプトや内容はひょっとすると想像しづらいかもしれない。それは「Sound & City」という舞台で音楽家が未来について考えていることを伝えるために、新しい挑戦を行うからだ。演者・観客ともに未体験の新鮮なセッションをぜひ楽しんでほしい。

Seiho
活け花とモジュラーシンセの不可思議な邂逅

日時:4月28日(木)20:00〜21:00
場所:アークヒルズカフェ
入場料:2,000円(1ドリンク付)終了しました

Seiho|セイホー
アシッドジャズが鳴りまくっていた大阪の寿司屋の長男にして、2013年、中田ヤスタカらと並びMTV注目のプロデューサー7人に選出され、Sonar Sound Tokyoに国内アーティストとしては初の2年連続出演、Mount Kimbie、2 Many DJ’s、Flying Lotusらの日本ツアー・オープニングまたは共演、そして同郷Avec AvecとのポップデュオSugar’s Campaignでも注目度↑↑↑のビートメイカー兼DJ兼プロデューサー。自身が主催するレーベル<Day Tripper Records>より『Mercury』(2012)、『Abstraktsex』(2013)をリリース。他アーティストへのプロデュースやリミックス・ワークとして、Les Sins(Toro Y Moi)、YUKI、矢野顕子、Ryan Hemsworth、LoFiFNK、東京女子流などを、また、CM音楽やTV番組のサウンド・プロデュースなども多く手掛ける。2016年3月にUSツアーを敢行、5月に米レーベル<LEAVING RECORDS>より約3年ぶりとなる最新アルバム『Collapse』をリリース。
agraph
気鋭の電子音楽家と語る「クリエイティヴのR & Dと『音楽家』の行方」

日時:4月29日(金)16:00〜17:20
場所:アークヒルズカフェ
入場料:1日券3,500円終了しました

agraph|アグラフ
電子音楽家・牛尾憲輔のソロユニット。2003年、石野卓球との出会いから、電気グルーヴ、石野卓球、DISCO TWINS(DJ TASAKA+KAGAMI)などの制作、ライブでのサポートでキャリアを積む。2008年にソロユニット”agraph”としてデビューアルバム『a day, phases』をリリース。石野卓球をして「デビュー作にしてマスターピース」と言わしめた。アニメ、映画音楽などの制作へと活動領域を広げ、2016年2月に待望の3rdアルバム『the shader』をリリース。「形容を思いつかない音がある。語彙が足りない。頭が悪いせいならよいが、その音が言葉の外にあるのだとしたら」とは作家・円城塔による評。
tofubeats
Sound & Cityのためだけのアンビエント・セッションを披露

日時:4月29日(金)17:30〜18:15
場所:カラヤン広場特設ステージ
入場料:無料終了しました

tofubeats|トーフビーツ
1990年 生まれ、神戸で活動を続けるProduce/DJ。学生時代からインターネットで活動を行い、SMAP、YUKI、 ももいろクローバー、Flo Rida、Para One、くるり等のリミックスを手掛ける。プロデューサーとしてもアイドルやアーティストに楽曲を提供をTVCMやWebCMの音楽制作等も多数。スマッシュヒット「水星 feat.オノマトペ 大臣」を収録したアルバム「LOST DECADE」、2014年には、待望のメジャー1stアルバム「First Album」をリリース。そして2015年には満を持してのメジャー2ndアルバム「POSITIVE」をリリースし、iTunes Store J-POPチャートで1位を獲得。2016年には超豪華メンツが顔を揃えた「POSITIVE REMIXES」を発売。
Hifana
音と映像をスクラッチ!会場全員で遊ぶリズムプレイ!

日時:4月29日(金)20:00〜21:20
場所:アークヒルズカフェ
入場料:2,000円(1ドリンク付)・当日券あり

Hifana|ハイファナ
KEIZOmachine!とジューシーにより、1998年に活動開始。ライブでは、プログラミングやシーケンスをいっさい使用せずリアルタイムにサンプラーのパッドを叩いてビートを刻みスクラッチやパーカッションなどを乗せていく独特のスタイルと、GROUNDRIDDIMによるVJを迎えた音楽と映像との融合が特徴。日本独自の観点を融合させた自身のユニークな楽曲群は世界でも評価が高く、これまでにイスラエルと日本の国交60周年イベントへの出演や、フランスのEMI Musicからのアルバムリリースなどクラブ/フェス規模から国内外を含む国境をまたいだ企画へと、その活動は多岐に渡る。また、2006年には多業種クリエイターとの交流の場となるGROUNDRIDDIMを結成。現在は、数多くのCM/広告に楽曲を提供しつつ、多岐にわたるミュージシャンやクリエイターとのコラボ作品、国内外でのLIVEや企業の公演等、活動の幅を益々広げている。西アフリカの打楽器「アサラト」の世界的名手としても知られる。

INFORMATION

2016/4/28・29開催:「SOUND & CITY」

未来のTOKYOを「音」というテーマを通して体感する複合イヴェント「SOUND & CITY」。『WIRED』日本版とRizomatiks、そしてTechShop Tokyoのプロデュースで、2016年4月28(木)〜29(金)にアークヒルズで開催。tofubeats、和田永などのアーティストとともに、BeatsのプレジデントやVESTAXの創業者らが登場する新しいタイプの複合イヴェント。イヴェントの内容および当日の盛り上がりをお伝えするレポートについては、こちらより