廣岡校長はフェイスブックでも説明

写真拡大

テレ朝系番組でひきこもりの部屋のドアを破壊したシーンが批判を受けたフリースクールの校長が、ホームページ上で事情を説明した。校長はそこで、「事実と異なる批判を受けた」と言っている。

ビートたけしのTVタックル」2016年3月21日夜放送の特集「大人のひきこもり」は、放送後にネット上で異論が相次いだ。

精神科医らが人権侵害だと記者会見して批判

特集では、高齢の両親からの依頼を受けた「ワンステップスクール伊藤学校」の廣岡政幸校長が、ひきこもって暴力も振るう息子(47)の部屋のドアを素手で突き破って、「降りて来い!」などと怒鳴るシーンを流した。これが暴力的だとして物議を醸したのだ。

4月4日になって、当時からツイッターで批判していた精神科医の斎藤環さんやひきこもり経験者ら9人が東京都内で記者会見を開き、本人の同意もないことで人権侵害だと訴えた。テレ朝もこうしたシーンを無批判に流したと指摘し、放送倫理・番組向上機構(BPO)での審議も求めた。

これに対し、廣岡校長はこの日のうちに、ホームページ上で「TVタックル騒動について」とする釈明文を掲載して事情を明らかにした。

そこでは、会見では「事実と異なる批判」を受けていると訴えた。「現場では、いかなる場合においても正当な手順のもと事前に保護者(家主)および本人の同意を得た上で対応にあたっています」というのだ。

そして、「粗暴な言動など誤解を招くような立ち振る舞いをしてしまったことは深く反省」するとしながらも、両親は困っており、どうしても家庭内暴力を止めないといけなかったと理解を求めた。会見後は、応援メッセージが数千件届いているともした。

ドアを壊したり怒鳴ったりしながら、本人の同意を得ているというのは本当なのか。

「親や兄弟をはじめとした当事者は限界」

廣岡政幸校長は、その証拠として、ホームページ上で同じテレ朝系の情報番組「スーパーJチャンネル」16年1月22日の放送内容を紹介している。そこで、その放送を見ると、前出のひきこもり息子についてのシーンが出ていた。

廣岡校長が部屋の前で「開けちゃいますよ いいですか?」と穏やかに問いかけると、息子は、開けたら力ずくで叩き出すと怒鳴る。そして、「まずは開けて口先だけじゃないところ見せてみろ! そしたら、俺は話をしてやるわ!」と息巻いた。しかし、部屋は内からカギがかかっており、別のスタッフがドアを開けるよう求めたが応じず、母親に状況を伝えた。母親は「ドアを壊したって構わない」と言ったため、廣岡校長が許可を受けてドアを壊していた。

つまり、「TVタックル」は、このシーンの一部だけを切り取っていたわけだ。

廣岡校長は、J-CASTニュースの取材に対し、こう話す。

「会見でのご指摘はごもっともで、確かに粗暴な言動はありました。しかし、状況判断をして行っており、本人の意志も尊重しています。学校でこれをしているとは捉えないでほしいと思っています。体罰やスパルタ教育とは違いますから」

テレビ朝日の広報部では、会見で批判されたことについて、「当該特集は、高齢化するひきこもり問題を社会問題の一つとして取り上げたものですが、ご指摘は真摯に受け止め、今後の番組作りの糧としたいと思います」と取材にコメントした。

ネット上では、「テレビで晒すのはどうかと思う」「専門家から声が上がってよかった」と会見での批判に同意する声もあるが、廣岡校長に理解を示す声も多い。「親や兄弟をはじめとした当事者は限界なんだと思うよ」「手は荒いけどしょうがない部分もあるのでは?」「何をやっても批判する人はいる。本当に難しい」などと書き込まれている。