個性的すぎるお好み焼店「ASOKO」(あそこ) 仏像の壁画、真っ赤なシート、水槽には錦鯉

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大阪と京都の間に位置するベッドタウン、大阪府高槻市。ここにお好み焼きファンだけでなく、好奇心旺盛な人々をも惹きつける超個性的なお好み焼き屋がある。

その名は「ASOKO」(あそこ)。

インパクト大の店がまえ




閑静な住宅街の駐車場に突如現れる「昭和三十九年創業 お好み焼き」の看板。その先にはアジアの仏教寺院を思わせる店の入り口。ここが知る人ぞ知る隠れ家的お好み焼き屋の「ASOKO」である。


店に入ると、打ちっぱなしのコンクリート壁には中国の仙人や、日本の仏像の絵が。シートは鮮やかな赤。そして、店のど真ん中には巨大な水槽があり、赤い錦鯉を始め、様々な魚が悠々と泳いでいる。テーブルには、ふんだんにイラストを散りばめた、マンガ雑誌から飛び出してきたようなメニュー表が置かれている。









お店の外装や内装、メニュー表などのデザインは店長の藏田(くらた)さんによるもの。壁紙も自宅のプリンターで印刷した。コンセプトは「和風」。しかし、少し中国風や洋風のテイストを入れ変化をつけているという。
「日本をよく知らない外国人が、日本をイメージしたようなアクション映画を思わせる店内にしています」内装は少しずつ変え、新鮮味を失わないよう心掛けているそうだ。

「あそこ」から「ASOKO」へ


昭和39年に藏田さんの父が創業した「あそこ」。
藏田さんが継ぐまでは、カウンター席とテーブル席2つのごく普通のお好み焼き屋だった。
やや塩気の利いた素朴な味の生地で作った、豚玉やイカ玉、焼きそばやモダン焼などのオーソドックスなメニューが出されていた。



20年前に大型スーパーで働いていた藏田さんが店を継ぎ、15年前にリニューアルオープン。
大手スーパーで培った経営ノウハウを生かし、店の改装やメニューの開発などを次々と行った。



藏田さんと対照的にメニューや内装に強いこだわりを見せなかった父だったが、「淡々と経営していたからこそ、新しいチャレンジを好意的に受け入れることができたのではないか」と藏田さんは語る。



現在はバラエティ溢れるメニューが自慢の「ASOKO」。
研究熱心な藏田さんにより次々と新メニューが開発されているが、ベストセラーは「ASOKO焼」(980円)と「鬼手仏心焼(きしゅぶしんやき)」(980円)である。



店名を冠した「ASOKO焼」は、とろりとした半熟卵の下にはカリカリとした豚肉、その下の生地はエビ、イカ、そして餅入りで変化に富んだ味と食感が楽しめる。先代の頃はミックス焼きに餅を入れたまかないだったが、藏田さんは「美味しいので人気が出るのでは」とメニューに加えた。藏田さんの予想は当たり、現在は看板商品となっている。



「鬼手仏心焼」は横に長いモダン焼。焼き豚入りのそばめし(チャーハン)に半熟玉子とたっぷりの豚肉をのせていて、ボリューム満点。独特の形は居酒屋の長い皿をイメージしたそう。藏田さんは和洋中問わず、様々な料理を参考にメニュー開発に励んでいる。
もちろんメニューには、創業当時からのぶた玉(480円)、いか玉(480円)もある。
「お店のお好み焼の生地がシンプルな味だったから、いろいろアレンジすることができた」
生地に入った出汁は「企業秘密」とのことだった。
(谷町邦子)