香港では「マクドナルド難民」や「マクドナルド・スリーパー」と呼ばれる人々の問題が注目を集めている。香港が抱える収入格差や高額な家賃などの問題が背景にあるからだ。中国メディアの騰訊網が報じた。(写真は騰訊網の12日付報道の画面キャプチャ)

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 香港では「マクドナルド難民」や「マクドナルド・スリーパー」と呼ばれる人々の問題が注目を集めている。香港が抱える収入格差や高額な家賃などの問題が背景にあるからだ。中国メディアの騰訊網が報じた。

 同問題で人々が改めて衝撃を受けたのは、10月3日朝にマクドナルド店内で座ったまま死亡していた女性が発見されたことだった。他の客から「気を失っている人がいる」との通報を受け警察官らが駆けつけたところ、すでに死亡していたという。女性は50代前後で、監視カメラの映像では、約7時間にわたり動いていなかった。周囲の客が異常に気づいたのは、死亡してから数時間後とみられている。

 土地が慢性的に不足している香港では、不動産価格が極めて高い。そのため、賃貸物件の家賃も高い。騰訊網によると、香港九龍北西部の住宅地域である深水〓(サムスイポー)地区では、約3平方メートルという極めて小さな1間を借りるのでも、月額家賃は約2000香港ドルという。日本風に言えば、2畳にも満たない部屋の家賃が約3万円以上ということになる。(〓は土へんに「歩」)

日本でホームレスというと、定収のない人をイメージしがちだが、香港では収入があったとしても、家賃負担に耐えられない人がホームレスになる場合があるという。騰訊網によると、香港でマクドナルドの24時間営業店が増えだしたのは2006年だ。テーブルに突っ伏したり、長椅子に横たわって1晩を過ごす人の光景は、珍しくなくなった。

 騰訊網は、24時間営業店に貧しい人が泊まる現象は日本や中国大陸部でも存在すると指摘。しかし香港の場合には、家賃負担に耐えられなくなった高齢者が多いという点で、状況はさらに深刻との見方を示した。

 マクドナルド難民の中には、何も買わずに店内に入って寝てしまう人もいるという。また、インド、ベトナム、パキスタン、バングラディシュなどから労働者として来た人もかなり多い。

 香港政府・社会福利署と非政府組織(NGO)3組織が2004年から1140万香港ドル(約1億8000万円)を投じてホームレス問題に取り組んでいるが、家賃の高騰と雇用状況の悪化で、部屋を持てない人は増え続けているという。

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◆解説◆
 香港の人口密度は1平方キロメートル当たり6361人とされる。日本の東京都豊島区などで人口密度が2万人を超えているのと比べれば少ないが、香港には丘陵や急斜面が相当に多いので、住宅のために使える土地はかなり少ない。

 利用できる土地を増やそうと香港当局は埋め立て事業を進めているが、香港周辺は複数の稀少生物の生息地となっていることから、反対の声がある。(編集担当:如月隼人)(写真は騰訊網の12日付報道の画面キャプチャ)