愛し、そして愛される技術を高めてくれるジョン・キム氏発の“恋愛論”とは?
誰しもが一度はしたことのある「恋愛」。甘酸っぱい初恋や苦しみを伴う恋、安心感で満たされる愛など、一口に恋愛といっても、その形は人それぞれ。いや、人それぞれどころか恋をするたびに恋愛の正体はその姿を変えていきます。
そんな定義がつかみにくい恋愛の本質を分析し、その正体を真摯に探っていこうと試みたのが、ジョン・キム氏。大ベストセラーとなった『媚びない人生』で人々を勇気づける人生指南を説いたジョン氏が、今度は恋愛についてとことん向き合ったのが『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房)です。
この中でジョン氏は恋愛を40の「愛の姿勢」と40の「愛の技術」に分け分析していますが、今回はその中からあなたの恋愛観に静かな衝撃とパワーを与えてくれる3つの恋愛論をピックアップし、ご紹介したいと思います。
■恋をするには、ほんの少しの可能性だけで十分
「愛されているという事実より、愛されるかもしれないというほんの少しの可能性に燃えるのが恋心というものです。(中略)人が恋心で燃えるには高い可能性は必要としません。(中略)むしろその可能性は低ければ低いほどいい。残りは自分の想像力でなんとかなるのですから」
恋をすることのメカニズムを、ジョン氏はこう説きます。相手から愛されている可能性が低い状態を決して不幸なこととは捉えず、むしろ純真で幸せな時期であるという論理は、一度でも片思いを経験したことがある人なら大きな実感をもって共感することができることでしょう。そして再びそのような恋をしてみたいと願う人が多いはずです。
■恋愛では過程こそが結果である
「恋愛関係が続く秘訣について知りたい人も多いでしょう。しかし、(中略)恋愛関係の持続それ自体に本質的な意味はないと考えています。(中略)恋愛においては、持続が常に善ではなく、中断が常に悪ではありません。重要なのは、お互いの自由意思に基づく主体的な選択が存在すること。その結果として両者の想いが恋愛という関係性の獲得と持続に一致するのであれば、なおさらよい」
お互いの思いを確認し合い、いざ付き合いが始まると、多くの人は“この関係が永遠に続くこと”を求めがちです。もちろん持続する恋愛はすばらしいと説きながらも、しかし持続自体が目的となってしまうことをジョン氏は懸念しています。持続のために魂をすり減らすのではなく、“今この瞬間に最大の感受性を持って、相手を全力で愛すること”が何よりも大切であり、結果的に愛の持続が失敗に終わっても、それこそが人として美しい姿勢なのです。
■嫉妬心を乗り越えるために相手の自由意思を認める
「子供のころ、親がいなければ自分は死んでしまうので、その親の愛情をもらうために子供は頑張ります。『その親からの愛を失いたくない』(中略)というのが、子供のころ無意識に刻み込まれていきます」「嫉妬心は、ある意味、生存本能の表れです」「嫉妬は、自らを惨めにし、社会的な評判も落とす危険性を秘めているので、賢明な人は嫉妬の感情を抱かないようにするものです。(中略)相手の自由意思を認める人は、嫉妬心が少ないです。この自由意思を自分に認めているように、相手にも認められるかどうかが、嫉妬心を乗り越える際の重要な鍵となります」
人を愛することで生まれてしまうネガティブな感情“嫉妬”。しかしこの感情をただ否定するのではなく、そのメカニズムを説明し、避けることができない運命を私たちに提示します。そのうえでジョン氏は、嫉妬と上手に付き合っていくための心得や気づきを私たちに与えてくれるのです。
以上からもわかるように、ジョン・キム氏著『来世でも読みたい恋愛論』は、いわゆる実践的な恋愛ハウツー本ではありません。しかしながら、愛の本質を哲学的に解き明かしていくことで、恋愛のメカニズムを深いレベルで知ることができ、結果的に実践的な恋愛シーンでの立ち回りができるようになるのです。
今回取り上げた以外にも、告白ができない人の心理や失恋することの意味、恋愛と理性との関係など、合計80もの恋愛についての真理が丁寧に解き明かされています。
ぜひとも本書を手に取ることで、愛すること、そして愛されることの意味を今一度問い直すきっかけとしてみてください。恋に傷つき、癒されたいあなたの心にそっと寄り添ってくれるはずです。
恋愛論というタイトルがついていますが、この教えは恋愛にとどまらず、必ずやあなたの人生にまで大きな影響を与えてくれる1冊となることでしょう。あなたの恋愛や人生の状況によって、ジョン氏のこれらの言葉はまた違った意味を与えてくれますので、あなたの中に変化が訪れるたびに、本棚に置いてある本書を何度も開いてみることをおすすめします。
『来世でも読みたい恋愛論』
ジョン・キム (著)
(文=吉田奈美/ 恋愛ユニバーシティ)
◇プロフィール吉田奈美 / 恋愛ユニバーシティ フリーランスライターフリーランスライター。女性誌を中心に、タレントインタビュー、恋愛企画、読み物企画、旅企画、料理企画などを担当。また書籍の企画・構成も行っている。B級裁判や恋愛にまつわる裁判傍聴ライターとしても活動しており、『恋愛saiban傍聴記』(主婦の友社)を出版。フジテレビ『ホンマでっか!? TV』、テレビ東京『暴露ナイト』、関西テレビ『今週のスポットライト』、BSスカパー『ダラケ!』等、テレビ出演も。