化粧で「すっぴんを作る」女性誌の特集 ネット「わけがわからない」とツッコミ

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講談社の女性誌「FRaU(フラウ)」2015年10月号の表紙が話題になっている。「女たちよ! 化粧ですっぴんを『作る』時がきた!」と書いてあるのだ。すっぴんとは化粧をしていない状態を指すはずだが、化粧で「作る」とはどういうことなのか。Twitter上でも「わけがわからない」とツッコミのコメントが出ている。





「すっぴん」の意味を拡張


FRaUは「30代からの女性にとって大切なものをどれも諦めることなく、すべてを軽やかに楽しむための知世を磨くワンテーママガジン」をうたう雑誌で、媒体資料に掲載のアンケートによると、30歳以上の読者が半数以上を占める。今回の号にはすっぴんのように見えるが、実はメイク済みの篠原涼子(42)が登場している。

強烈なのはメインの特集からだ。

「隠すが勝ち、の“なりすまし美肌”」
「ありのままのすっぴんだけで勝負しようとするなんて、あまりに知恵不足」

といった煽り文句の数々。

化粧品を塗り重ねる「なりすまし肌」と、「自前素肌」なる新概念も登場する。「すっぴん」の意味が拡張されすぎて、ちょっと理解が追い付かない。

特集に出てくる「なりすまし」という言葉には、「(美しい素肌への)なりすまし」といった意味があるようで、化粧をしない素肌をそのまま見せるのではなく、やりすぎない程度の「すっぴん風」メイクを奨励している。それを実現するためのさまざまなメイクの技術やアイテムを掲載。

「なりすまし」の文字が特集全体に頻出し、
「ポイントメイクで“なりすまし感”を増幅せよ」
「日々のケアで“なりすまし力”を補強せよ!」
「その技とアイディアで“化けの皮”をはがすまじ!化粧直しで“なりすまし”耐久プラン」
といった力強い見出しが並ぶ。

「なりすまし」はFacebookで別のユーザーのふりをする不正行為などを連想させ、どことなくズルい響きにも聞こえるが、上記のように化粧を「化けの皮」とまで言い切っており、正直すぎるぐらいの開き直りだ。ほかの女性誌でもナチュラルメイクは特集されているものの、これほど直截的な書き方は珍しい。

背景に芸能人の「すっぴん」公開ブーム


「すっぴん風」のメイクが特集される背景に、芸能人による「すっぴん」写真公開の流行がある。ブログやSNSに「すっぴん」と称する画像が公開されると、「かわいい!」「肌がキレイ」「すっぴんに見えない!」とファンが称賛し、ウェブニュースで記事になるのがお決まりの流れになっている。

中には化粧をしているようにしか見えない「すっぴん」写真があったり、スマホアプリで加工していると疑われる例もあり、9月1日のバラエティ番組「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)では、すっぴん詐欺疑惑を検証する企画を放送したほどだが、美しい「すっぴん」姿にあこがれる人は少なくないようだ。

「美ジョガー」や「妊活」などのワードでブームをけん引してきたFRaU。メイクで作る「なりすまし肌」も今後、広く使われるようになるだろうか。