大阪の公立を代表する好投手対決!決着は???

延長11回サヨナラ本塁打に歓喜の大塚ナイン

 大冠の吉田 大喜(3年)と大塚の村林一輝(3年)。大阪の公立を代表する両右腕の対決は期待通りの投手戦となり、ゲームは延長に入った。 今大会では延長13回以降はタイブレークになる。それを両チームとも意識する中で、11回裏に大塚が7番・北野光祥(3年)のサヨナラ2ランでゲームを決着させた。

 大冠の吉田を打ち崩す一打がまさかのサヨナラ本塁打。ゲーム直後、大塚のスタンドでは保護者やマネージャーが大粒の涙を流して喜んでいた。それだけ、この投手戦には引きつけられるものがあったからだろう。

 試合後、室谷明夫監督は、「北野は一発がある打者で、高校通算10本くらいは打っていると思います。昨秋は試合に出てなくて、冬を越えて力をつけてきた打者。それにたまたまですが、11月の終わりに公立大会というのがありまして、この花園球場でホームランを打っていたんです。それもあって相性が良いのかな」と殊勲の一打を放った7番打者を讃えた。

 さて、このゲームを演出したのは両投手の力投だ。 大塚の村林は昨夏もエースナンバーをつけ、大阪大会4回戦まで進出。秋もベスト8まで勝ち進み、チームは21世紀枠の大阪府推薦を得た。

 今大会では背番号が6に変わったが、「一人では大阪では勝っていけないので、春は1を投手陣みんなで競うため」というチーム方針によるものである。 ただこの日の相手は強豪の大冠ということで、村林は「相手の投手は有名で気合が入りました」とエースのプライドを全面に出すピッチングを見せた。4回に4番・古谷将也(3年)に浴びた2ラン以外はほぼ完璧な内容。140キロ近い直球と緩急が冴え渡った。180センチ70キロの右腕は、「将来は上(プロ)でやりたい気持ちがあります」と大きな夢も語った。

 一方、痛恨のサヨナラ弾を浴びた吉田は悔しそうな表情で挨拶の列に並んだ。この日の最速は141キロで、打たれたヒットも11イニングで散発の7本。ただ、3つだけしか与えなかった四球が全て失点に繋がったのが悔やまれる。それでも、延長10回裏に自らのフィルダースチョイスなどで無死二、三塁と絶対絶命のピンチを招きながら、それを凌いで見せた。特に二死となって一塁が空いた状況でタイムリーなど2安打を浴びている4番・村林という場面でも、簡単に敬遠せず、勝負して3球三振に打ち取った。投手戦を演じてきたエースとしての意地が垣間見えた瞬間と言えるだろう。

 春は初戦敗退に終わり、私立と対決せぬままに終わったため、今年はベールに包まれた状態の大冠。エース吉田を中心に、夏は私立が最も嫌がるチームへの成長を期待したい。