調達購買資材改革推進者勉強会-その1/野町 直弘
2013年1月にスタートした勉強会の研究成果報告会の概要について述べています。

2013年1月に購買ネットワーク会の分科会として「調達購買資材改革推進者勉強会」を私(野町)が発起人となりスタートさせました。
当会は企業内で調達購買資材部門の業務改革に従事するマネージャー職以上の方(原則)を対象に「調達・購買・資材改革のノウハウ、手法、コツの情報共有および体系化」を目的とした勉強会です。

当初、このメルマガや購買ネットワーク会のメルマガなどで参加希望者を募り約70名程度のメンバーでスタートしました。
この勉強会の特徴の一つはボランタリーな活動であることです。ですから、研究した内容や開発した手法等は広く改革推進者へ提供することを目的にしています。また参加メンバーは業務時間外に貸会議室等に集まり、費用も各自が負担しながら
進めるなど、草の根的な活動であることが特徴です。
ですから、当然のことながら業務の都合や転勤、異動などもあり、当初8つのグループで活動を進めてきましたが、どうしても活動を休止せざるを得ないグループもあり、最終的には5つのグループが活動を継続することができました。

このような手法開発は我々のようなコンサルタントやややアカデミックな世界での仕事です。しかし企業内の改革担当者によりこのような研究、手法開発を行うことで、より実践的であり実務に根差した体系化、手法開発ができることを期待してスタートしました。
ですから私自身はできるだけ自分の考えを出さずにファシリテーターとして活動をサポートしてきたのです。

先日(2015年4月11日)に約2年間の活動の総括として勉強会メンバー以外にも門戸を開き研究成果報告会を開催しました。会場のキャパ等もありましたが70名強という多くの参加者が出席し朝9時から1日中ほぼ缶詰め状態で成果報告会が開かれたのです。

このメルマガで全てのグループの発表内容を詳細に紹介することはできませんが、ここではメルマガ上でそれぞれのグループの発表の中で印象に残っているキーワードをいくつか挙げていきます。

最初は今回最優秀グループ賞として選ばれた『人財育成・教育グループ』です。
このグループの発表ではとても印象に残るキーワードが多く出されました。例えば、「パフォーマンスはスキルとモチベーションの掛け算」。

正にその通りです。それをコンサルではなく実務をやられ人財育成を日々やっている人達から言葉として出てきたところに意味があります。
「スキルは簡単に上がらないがモチベーションは一瞬で上げることも下げることも
できる」。

これも素晴らしい言葉です。と同時にモチベーションの重要性を改めて認識させられたキーワードです。このグループは人財育成に欠かせない10のスキルを定義し、それを育成するための手法を定義しています。しかしスキルの育成には時間がかかる。
それを担当する上司には「庭師の心」が必要である、と説明しています。
「庭師の心」。

また他社事例の調査も同時に行っており、そのアンケート調査の結果、グループ内で定義した必要不可欠な10のスキル同様、調達購買人材にはファンダメンタルスキルが重要視されることを立証しています。
そして最後のまとめとしてあげられたキーワードは
「当たり前のことを地道にやること」。

とまとめています。
人財育成グループはモチベーションの重要性を説いており、人材育成もサプライヤ育成も同じ、とおっしゃており、これは私が先回のメルマガでも取り上げているサプライヤモチベーションマネジメントにもつながることです。

次にサプライヤマネジメントグループです。
このグループでもサプライヤモチベーションの向上を先進企業事例としてその重要性を取り上げています。
それと同時に印象に残ったキーワードとしては
「企業の仕組みへのインストール」。

サプライヤマネジメントグループは当初どんな企業でも使える標準的なサプライヤ評価の軸を開発しようとしていました。しかしそれを進めるうちにサプライヤ評価は各企業や業界、購入品目毎にその重要性は異なるため、標準化は困難である、ということを理解。
その上で、サプライヤマネジメントはサプライヤ評価と同義ではなく、サプライヤ評価を如何に活用していくか、という観点で研究を進めていきました。
そしてアンケート調査、先進企業事例の調査を行うだけでなく、メンバーの属する企業でのサプライヤマネジメントの仕組みを作るところまで進めていったのです。

正に研究のための研究ではなく、勉強や研究を「実務にインストールする」ところまで至っています。これは正に今回の勉強会で狙っていたことです。

残り3グループはグローバル調達グループ、組織・体制強化整備グループ、横浜グループになります。この3グループでも印象に残ったキーワードはいくつも上げられます。

次回メルマガではこの残り3グループの発表紹介をしていきましょう。