16日午前0時をもって解禁された06年のボジョレ・ヌーボーを店頭で売り出すセブン-イレブン。(撮影:常井健一)

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フランス産赤ワインの新酒「ボジョレ・ヌーボー」が11月16日午前0時に解禁された。仏ボジョレワイン委員会によると、2006年の出来について「とてもうまくいった年となり、果実味が豊かで、小さな赤い果実の強烈なアロマを伴う」と評価しており、生産者の間では「100年に一度の出来」となった03年の質をしのぐとされた05年の出来とも匹敵するという。

 ボジョレ・ヌーボーは、毎年11月の第3木曜日に解禁されるのが慣例で、時差の関係で世界で最も早く飲める国のひとつである日本でも秋のイベントとして定着。05年の世界販売量435万ケース(1ケースは750ミリリットル12本で換算)のうち、2割超を占めるほどの“ボジョレ大国”にもなっている。バブル期の熱狂的なブームを経て、04年の104万ケースをピークに微減傾向にあり、今年は昨年の97万5000ケースをやや下回る見通しだ。

 また、家庭で楽しむ傾向の高まりを背景に、コンビニでの販売量は市場全体の2割弱にも達する。コンビニ各社は「オリジナル」や「限定」を売り文句に、夏から予約を開始するなど互いにしのぎを削っている。今年は“おひとりさま”でも気軽に飲めるハーフボトルの商品を充実させているのが特徴。飲酒運転の取り締まり強化の流れを受けて、各社とも試飲を自粛しており、「取材や問い合わせも少なめ」(各社)としている。

 コンビニ最大手のセブン-イレブン<3382>は、販売目標を昨年よりやや少な目の約6万7000ケース(80万本)としたが、対日輸出量の約7%を確保する勢い。予約は昨年より2日早い8月30日に開始しており、反応は「おおむね好調」(同社広報)だという。

 セブンが取り揃えるのは、「ボジョレの帝王」こと醸造家のジョルジュ・デュブッフ氏がプロデュースした『ジョルジュ・デュブッフ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2006キュベスペシャル』(輸入元サントリー、2680円)、ボジョレ地方の中でも名高いとされるクリュ・ボジョレ地区産の原酒を世界的なソムリエとして知られる田崎真也氏が調合した『シャルル・ドラピエ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2006 プレステージ・セレクション』(同メルシャン、2480円)の昨年同様の2品。今年は新たにハーフボトル2品セット(3280円)も用意、チーズやハムなどオリジナルのおつまみ類も充実させた。

 ローソン<2651>は、仏三つ星レストランのオーナーシェフ、ギィ・サヴォワ氏に監修を依頼し、ボジョレ・ヴィラージュの畑の良質なブドウを使用したオリジナルワイン『ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』(同サントリー、2680円)を昨年に引き続き投入。

 世界中から9000銘柄以上ものワインが出品される審査会「インターナショナル・ワインチャレンジ2004」で「レッドワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたアルベール・ビショー社製のハーフボトル(同メルシャン、1490円)も新たに揃え、昨年より微減の約2.6万ケース(32万本)の販売を見込む。

 大手コンビニの中で一番早い8月22日から予約を開始したファミリーマート<8028>は、『ドメーヌ・ド・トロワ ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』(同メルシャン、2780円)の限定ワインなどを用意する。販売は前年比20%増を目指すとしている。

 キリンお酒と生活文化研究所が20歳以上の男女1万2419人に行ったネット調査によると、87%が『ボジョレ・ヌーボー』を飲みたいとしており、普段ワインを飲まない20代で5人に1人が解禁当日に味わう意向を持っていることが分かった。飲む理由としては、33%が「恒例のイベントだから」と答え、選ぶポイントに「手頃な価格」と挙げた人が7割(複数回答)を占めた。【了】

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