厚さ16.5センチ、979条からなる会社法案(提供:石田敏高さん)

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有限会社制度の廃止や敵対的買収への防衛策などを盛り込んだ会社法案が、17日午後の衆院本会議で賛成多数で可決した。規制緩和や経営の健全育成を促し、国内企業の国際競争力を後押しする狙い。

 これに先立ち、衆院法務委員会が同日午前に開かれ、◆定款に定めがあれば自己株式の売却手続きが簡略化できる規定を削除。現行通り、新株発行に準じる手続きを経ないと市場での売却は認めない◆株主代表訴訟について、責任追及の訴えで会社の過大な費用負担が生じることが予測される場合は訴えを却下できるとの規定を削除。株主が提訴を検討する際の萎縮効果を防ぐ◆会社が総会屋に利益供与した際、取締役に過失がないことを立証すれば責任を免れるとする規定を修正。利益供与に直接かかわった取締役に責任を負わせる─の3項目で政府案を修正して可決。また、敵対的買収への防衛策について、早急に指針を策定することを政府に求める付帯決議も採択した。

 そのほか、同法案は◆「有限会社」を廃し、会社類型を「株式会社」に一元化◆最低資本金規制の廃止◆取締役の権限を強め、機関設計を柔軟化◆類似商号規制の撤廃◆買収者による株の大量取得時に備えた、既存株主への新株予約権の付与◆株主総会での合併承認に関する定款上の条件を厳化─などを規定している。また、最近の社会、経済情勢の変化に対応するため、現代用語表記に改めてある。

 同法案は、衆院通過まで約30時間というスピード審議となった。【了】