欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)準決勝は24日、第1戦行われホームのマンチェスター・ユナイテッドが後半ロスタイム、ルーニーの劇的な逆転ゴールでミランを3−2で降した。

 前半5分、右サイドのCKにフリーで待ち構えたMFロナウドがでヘディングで叩く。スピードのあるボールはGKジーダの肩に当たり、ゴールに吸い込まれた。先制されたもののミランは慌てることなく、ボールをしっかりキープしリズムを掴んでいく。そして22分、今季欧州CLで絶好調のカカが一つのチャンスをものにした。MFセーボルフが出したパスをトラップで抜け出すと、マークについていたDFエインセを振り切り、左足でゴール右隅に流し込んだ。

 同点に追いつき勢いに乗るミランが、脆弱なユナイテッドのディフェンスラインの混乱をついて37分、逆転に成功する。またしてもカカの個人技だった。ジーダのフィードに巧みなボールタッチで一人かわすと、ディフェンスが交錯している間にGKと1対1に。これをあっさり沈めCL9点目。お決まりの天に指をかざすポーズで、7万5000人が集まるオールド・トラフォードの大観衆を沈黙させた。

 後半に入るとDFマルディーニ、MFガットゥーゾの負傷がミランを狂わせる。そして、ユナイテッドはリーグ戦ばりの猛攻を仕掛けた。そして後半15分、待望の同点ゴールが生まれる。中央で楔のボールを受けたスコールズが右足のアウトサイドでダイレクトパス。絶妙な胸トラップで前を向いたルーニーがシュートし、GKジーダに当たるもゴールに流れた。

 さらにMFフレッチャー、ロナウドと何度もミランゴールを襲い、完全に流れを呼び込んだ。ミランは足が止まり、ボールに対するアプローチが遅れた。アンチェロッティ監督はFWジラルディーノをMFグルキュフに変え、引き分けを狙うように選手にメッセージを送った。この消極的な采配が最後の最後にドラマを演出した。後半ロスタイム、ギグスからのパスを受けたルーニーが、角度のない位置から右足を一振り。ぽっかり空いたニアサイドに突き刺さり、土壇場でユナイテッドが逆転に成功。「夢の劇場」は割れんばかりの大歓声に包まれ、背番号「8」を称えた。

 最高の締めくくりで勝利を収めたユナイテッド。一方で貴重なアウエーゴールを2点も奪ったミラン。お互いに納得のいく試合になっただけに、第2戦サンシーロの一戦はより白熱した試合が見られそうだ。