故後藤田正晴氏は『語り遺したいこと』(岩波書店)の中で、“政治主導の意志決定システム”の構築に走る小泉改革の危うさを説いた。後藤田氏自身が戦後二十数人の首相に接した経験から、「優れた方もいたが、そうでない方も少なくなかった。総理大臣の権限強化は避けたほうが安全だ」と警告したのだった。当時、小泉純一郎首相は国民の強い支持を得て、自民党と霞ヶ関が結びついた旧来型の意思決定システムを打破すべく、例え