宝塚OGのユニット「STK30」のディナーショーが大爆笑で人気を集めている。ステージに立つのは、元星組男役・未央一(みおはじめ)さん(58)、元星組男役・あづみれいかさん(58)、元月組娘役の春風ひとみさん(54)。

「AKB48にちなんで『昭和、宝塚、歌劇、(昭和)30年代生まれ』でSTK30です」(春風)。有馬温泉やホテルのディナーショーなどで「むかし妖精、いま妖怪!」「加齢に負けず、華麗に」など自虐ネタで観客を沸かせてきた。この日、渋谷での昼と夜、2回公演の合間に話を聞くことができた。

未央「宝塚ファンの人は優しいから。すごく大事にしてくれて、いまだに『全然変わらないですね』って言ってくれます。とはいっても、厚化粧ですからね。もうバケモノでございますよ」

あずみ「私と春風さんは退団同期だけど、未央さんは4年ほど早かったよね」

未央「退団31年目。退団後は、結婚式やイベントの司会をやるくらいで、両親がやっていた大阪のミナミのスナックでママをやっていました。祖母が美しく、母は華やかで、私が“面白い担当”。それで、ときどきOG公演に出させてもらうという感じ」

あずみ「宝塚時代は忙しかったけど、退団すると仕事が『ある、ない、ない、ない』くらいの割合に(笑)」

春風「私たちはトップスターではないですからね。宝塚出身といっても厳しい。自分でオーディションを受けたりしなくちゃならない。環境が激変するんですね」

未央「私は大阪にいたから、東京でオーディションがあるときは、2人の家に泊まらせてもらったりしてね。退団すると、ホテル代一つとっても苦労しますね」

春風「未央さんがウチに泊まったとき、私がお風呂からあがると、ゴミ箱に頭を突っ込んで寝ていたことが(笑)」

未央「お店の仕事や移動やオーディションで、すごく疲れていたんです。ゴミを捨てようとしてそのままベーって寝てしまって」

春風「初めての舞台は海女役。宝塚時代のつけまつげや縦ロールも捨てて、ずんべら坊のメークに頭からお水をかぶったり(笑)」

――男役のお2人は、結婚経験あり。

未央「私は退団して3〜4年目で子どもが3人いる家に嫁ぎましたが、3年ほどで離婚。母が心臓病になったり、介護も経験しましたね」

春風「みんな家族の病気で苦労してますね」

あずみ「私は10年前に結婚したけど、じつは旦那とは2年ほど不倫をしていまして。あちらが結婚していることを知って別れていたんですけど、再会したとき、もう離婚していて」

未央「旦那さん、俳優をやっていてスゴく格好いいんです。私の携帯の待受け画面、彼でしたから!」

あずみ「ところが一緒になろうとしたとき、彼の脳腫瘍がわかったんです。結婚には家族の反対もあって……。婚姻届の保証人の欄は、未央さんに書いてもらったんですね」

春風「私は母をがんで亡くして。最後は病室に泊まりこんで見送りました。そんなときに未央さんからSTKのお話をもらって。亡くなった母がいちばん元気になるのが宝塚でしたから、このチャンスにもう1度恩返ししたいと思って」

あずみ「おととしは弟さんがくも膜下出血で倒れてしまって、大変だったんだよね」

春風「弟も独身だから、役者をやめて定収入の仕事に就かないとだめだと思っていたんです。そんなときに、ある男性に出会った……」

未央&あずみ「イエーイ」

春風「昨年、交際期間4カ月で、54歳にして結婚しました」

未央「じつは春風さんの旦那さんも私の知り合いで、婚姻届の保証人になりました。『結びの未央』なんです」

春風「同期もみんなびっくりして《春風ひとみが孤独死リストから外れました》というメールが出回りました。離婚後独身の未央さんの再婚は?」

未央「私は彼氏が今、800人くらいいますからね。ホホホホホホホホ(一同笑)」

 やはり100年続く宝塚歌劇団の“人間パワー”は半端じゃない。還暦前に新たな舞台に挑む彼女たち。あの艶(あで)やかな歌声は、きっと多くの人を元気にさせるに違いない!