花粉症さん待望の「舌下免疫療法」、受けられない人って?
大雪被害が各地で報じられるなか、早くも春の訪れを日々望む人もいるだろう。まだまだ遠い春。でも、花粉症に悩む人は、そろそろ準備に取り掛かる時期でもある。
そんななか、花粉症患者にとって待望の「舌下免疫療法」が、今年10月8日から公的保険適応になっていることをご存じだろうか。
花粉症治療には「薬物療法」「手術療法」「アレルゲン免疫療法」があり、アレルゲン免疫療法は、対症療法ではなく根治が期待できる方法として注目されてきた。
なかでも、古くからあった皮下注射法と違い、舌の下に毎日少量ずつスギ花粉を原料としたエキス(シダトレン)を服用する「舌下免疫療法」は、副作用の心配がより少なく、注射の苦痛がないこと、自宅で投与できるのが大きな魅力。ただし、これまでは保険外だったことが唯一のネックでもあった。
保険でできるならと喜び勇んで調べてみたものの、現時点では都内で受けられる病院・医院はまだわずかのよう。
しかも、花粉が飛び始める前に治療開始しないといけないため、各クリニック等では「12月初旬までに」「12月中旬頃までに初診を受けるのが必要」とされており、今年度分の予約はすでに終了しているところも多数。そんななか、12月半ばに今年度分を受けられる医院を見つけ、受診したのだが……。
結果から言うと、残念ながら自分は治療前の血液検査を受けるまでもなく、「治療対象外」となってしまった。「舌下免疫療法」を受けられない人はどんな人なのか。医師の説明と資料類から以下にまとめてみたい。
○「スギ花粉症」と明確に診断されない人
……治療開始前に採血検査を行う。その結果、スギの特異的IgEが上昇し、かつスギ花粉の時期に症状が強い人でないと、適応にならない。
〇舌下アレルゲンエキスの服用を毎日継続できない人
〇2週間に一度受診できない人(発売1年以内。その後も少なくとも1カ月に1度は受診が必要)。
〇β阻害薬(インデラル、セロケン、テノーミン、アーチストなど)を使用している人
〇気管支喘息を合併している人
〇全身ステロイド薬の連用や抗がん剤を使用している人
〇妊娠中の人
〇引越しの予定があり、継続的に通院することができない人
〇アナフィラキシーの前兆に気づけない人(視覚異常、視野狭窄、不整脈等)
必ず知っておきたいのは、エキス剤は2〜3年間シーズン外でも毎日投与する必要があること、治療を受けた患者の7〜8割は症状が軽減し、1割は症状がなくなるものの、誰にでも効果があるわけではないということだ。
また、治療不可ではないが、この治療法はあくまでスギ花粉に対するものであり、他のアレルギーを持つ人にはあまり意味がない可能性もあると言う。
ちなみに、自分が治療NGになってしまった理由は眼科の病気を持っているから。アナフィラキシーが起こった場合、視野狭窄などになる可能性があるのだが、眼科の病気を持っていると重大な副作用が起きていることに気づかない可能性があるというのである。
実は耳鼻科薬の多くは、眼圧が上がる可能性があるため、これまで自分はもともと強いクスリが飲めず、弱い内服薬+点鼻薬でしのいできた。
だからこそ、待ちに待った舌下免疫療法だったのだが、現状として最良の方法を聞くと、
「弱い内服薬と点鼻薬を併用して、マスクを必ずつけること」とのこと。
スギ花粉症患者は、種々のアレルギー持ちの可能性もあり、また、喘息患者のケースもあるだけに、残念ながら万能ではないのだ。
とはいえ、受けられる人にとっては夢のような治療法であるのは事実。今年度分の治療はもう難しいかもしれないけど、興味がある人は一度検討してみては?
(田幸和歌子)
そんななか、花粉症患者にとって待望の「舌下免疫療法」が、今年10月8日から公的保険適応になっていることをご存じだろうか。
花粉症治療には「薬物療法」「手術療法」「アレルゲン免疫療法」があり、アレルゲン免疫療法は、対症療法ではなく根治が期待できる方法として注目されてきた。
なかでも、古くからあった皮下注射法と違い、舌の下に毎日少量ずつスギ花粉を原料としたエキス(シダトレン)を服用する「舌下免疫療法」は、副作用の心配がより少なく、注射の苦痛がないこと、自宅で投与できるのが大きな魅力。ただし、これまでは保険外だったことが唯一のネックでもあった。
しかも、花粉が飛び始める前に治療開始しないといけないため、各クリニック等では「12月初旬までに」「12月中旬頃までに初診を受けるのが必要」とされており、今年度分の予約はすでに終了しているところも多数。そんななか、12月半ばに今年度分を受けられる医院を見つけ、受診したのだが……。
結果から言うと、残念ながら自分は治療前の血液検査を受けるまでもなく、「治療対象外」となってしまった。「舌下免疫療法」を受けられない人はどんな人なのか。医師の説明と資料類から以下にまとめてみたい。
○「スギ花粉症」と明確に診断されない人
……治療開始前に採血検査を行う。その結果、スギの特異的IgEが上昇し、かつスギ花粉の時期に症状が強い人でないと、適応にならない。
〇舌下アレルゲンエキスの服用を毎日継続できない人
〇2週間に一度受診できない人(発売1年以内。その後も少なくとも1カ月に1度は受診が必要)。
〇β阻害薬(インデラル、セロケン、テノーミン、アーチストなど)を使用している人
〇気管支喘息を合併している人
〇全身ステロイド薬の連用や抗がん剤を使用している人
〇妊娠中の人
〇引越しの予定があり、継続的に通院することができない人
〇アナフィラキシーの前兆に気づけない人(視覚異常、視野狭窄、不整脈等)
必ず知っておきたいのは、エキス剤は2〜3年間シーズン外でも毎日投与する必要があること、治療を受けた患者の7〜8割は症状が軽減し、1割は症状がなくなるものの、誰にでも効果があるわけではないということだ。
また、治療不可ではないが、この治療法はあくまでスギ花粉に対するものであり、他のアレルギーを持つ人にはあまり意味がない可能性もあると言う。
ちなみに、自分が治療NGになってしまった理由は眼科の病気を持っているから。アナフィラキシーが起こった場合、視野狭窄などになる可能性があるのだが、眼科の病気を持っていると重大な副作用が起きていることに気づかない可能性があるというのである。
実は耳鼻科薬の多くは、眼圧が上がる可能性があるため、これまで自分はもともと強いクスリが飲めず、弱い内服薬+点鼻薬でしのいできた。
だからこそ、待ちに待った舌下免疫療法だったのだが、現状として最良の方法を聞くと、
「弱い内服薬と点鼻薬を併用して、マスクを必ずつけること」とのこと。
スギ花粉症患者は、種々のアレルギー持ちの可能性もあり、また、喘息患者のケースもあるだけに、残念ながら万能ではないのだ。
とはいえ、受けられる人にとっては夢のような治療法であるのは事実。今年度分の治療はもう難しいかもしれないけど、興味がある人は一度検討してみては?
(田幸和歌子)