「壁ドン」はいったいどのぐらいうるさいのか スマホで計測してみてわかったこと

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人間が多く住んでいる場所で避けられない問題がある。そう、「騒音問題」だ。
集合住宅に住んでいる筆者も、階下に住んでいる住人が数時間も幼児を泣かし続けていたり、良くない関係の人々が朝までマージャンしていたりする騒音に悩まされたものである。

ところで、それらの騒音は数値化すると、どの程度になるのだろうか。

●スマートフォンのアプリで騒音が計れる「デシベル」
騒音などの音を数値にする単位としては「db(デシベル)」がある。電車が通るガード下が100dbとなっており、それよりも大きな数値では聴覚障害を起こす可能性があるそうだ。
ちなみに、かなりうるさいと思われるセミの鳴き声を2m離れた距離で聞くと、おおよそ70dbと言われる。

さて騒音の計測は、通常、専用の騒音計を使うところであるが、安いものでも2,000円以上、高いものでは10,000円以上する。毎日つかうわけではない騒音計にそこまでお金はかけなくない。計測にはできるだけ安く抑えたいと思うのが人情だろう。

その際に役立つのがスマートフォンのアプリである。スマートフォンには通話やムービー撮影時などに音を集音するマイクが標準装備されている。このマイクを利用し、音を数値化するアプリを入れるだけで騒音計測ができるのだ。それを使わない手はない。

今回は、比較的正確な数値が出るというAndroidスマートフォン向け「騒音測定器 - Sound Meter」を使ってみた。

●「壁ドン」はいったい何デシベル?どのくらい迷惑なのか
最近、流行した言葉の一つに「壁ドン」というものがある。
もともとはうるさい隣人をだまらせるために壁を叩いて威嚇するという行為を表す言葉だ。最近では彼氏が壁に手を着いて彼女に迫るという意味でも使われている…いや、こちらの意味のほうが普及しているらしい。さすが女子パワーである。

今回はせっかくなので2種類の「壁ドン」を計測してみた。
しかしながら、自宅で「壁ドン」をすれば、クレームは必至である。記事のために自身の生活を脅かしたり、他人に迷惑をかけたりするのは大人のすべきことではない。そう判断した筆者は、務めているオフィスの許可をいただき、オフィスの壁を叩いて調査することにした。
なお、勢い余って壁を叩きすぎて壊してしまっては、器物破損や賠償問題にもなり元も子もない。その辺はセーブさせていただくことにする。

計測方法は、叩く側で計測してもあまり意味がないため、壁の反対側で計測してみることとした。

「威嚇用壁ドン」→78db
であった。78dbというのは地下鉄の騒音と同等であり、かなりうるさいと思われる。実際に筆者がよく乗っている地下鉄で電車発車時に計測してみたところ、ほぼ同じような結果となった。壁を軽く叩いただけでもここまで響くものである。


同僚に壁をどんどん叩いてもらい反対側で計測してみる


「愛情型壁ドン」→59db
なお、愛情型という名前でいいのか?勝手に付けた名前だが気にしないで欲しい。こちらは彼女に迫る…ことも無いので、エアー彼女(空気)で試す。何しているんだ、というご指摘はこの際、聞かなかったことにする。


空気に向かって壁ドンで迫ってみるがなんだか目の前が滲んできたぞ


結論として、どちらの「壁ドン」も結構うるさいぞ、ということがわかった。

●意外にうるさいのは着信音や観光客の声?いろいろ調べてわかった
ちなみに、オフィス前の道路(国道1号線)はどうだろう。ということで、そちらも計測してみたところ、おおよそ68dbであった。この数値はアプリによると電話の着信音とほぼ同じレベルらしい。意外にも、電話の着信音は、屋外かつ幹線道路沿いくらいの騒音だと知ることになった。どうりで、電車内などで着信音が鳴ると、ほかの乗客から一斉に痛い視線が注がれるわけだ。

また、せっかくなので近所の公共スペースにてセミが鳴いている木の下でも計測したところ、こちらは59db。思ったほど大きな音ではなかった。鳴いていたのが声の小さなセミであったためであろうか。
さらに驚いたのは、アプリを起動したまま騒いでいる団体観光客の横を通り過ぎたところ75db数値が上昇したことだ。つまり、セミよりも観光客のおしゃべりのほうが遙かにうるさかったのだ。恐るべし。

なお、今回はAndroidスマートフォン向けアプリを利用したが、iPhone向けにもいくつか音量計測アプリがある。iPhoneユーザーも様々な場所の騒音を調べてみよう。

●騒音対策に「壁ドン」はタブー、逆効果になることも
ちなみに、隣人や階下がうるさいからと言って、「壁ドン」をするのは、やはりNGである。それだけでトラブルに発展する可能性も高い。また、すでに何らかのトラブルになっている場合、相手もうるさいと感じる「壁ドン」を行うことで、状況が悪化する危険があるからだ。
隣人との騒音問題では、騒音が発生した日時やどういった騒音なのか、音量数値の記録をしたのちに管理会社などのしかるべき場所へ相談するのが最も良い。

その際に、わざわざ専用の騒音計を買わずとも、目安程度であれば騒音計アプリが役立つかもしれない。
うるさいと感じても、冷静に対応する、それが隣人とのトラブルを必要以上に大きくしないコツである。

騒音測定器 - Sound Meter(Android向けアプリ)
SoundMeter(iPhone向けアプリ)

布施 繁樹