日本代表がブラジルW杯の事前合宿地であるアメリカに入った。記者も続々と現地入りし、ブラジルに向かうサポーターの方々の準備も大詰めといったところだろう。

 マイアミでは貴重なテストマッチ2試合が組まれている。エースとされる本田圭佑が絶不調に陥っていることに象徴されるように、今の日本代表のチーム状態は良くない。南アフリカ大会直前には岡田武史監督が大きな方針転換を決断したけど、今回もこの直前の2試合で何かが変わる気もする。それだけ不安と課題があるということでもある。

 さて、いよいよ迫ってきたブラジルW杯について、現地で起きているデモの報道やインフラ整備の遅れなどから、開催自体を不安視する声も溢れている。ブラジル出身の僕からみんなに言いたいのは、心配する必要ないよ、ということだ。

 昨年行われたコンフェデ杯期間中も、政府に対するデモ、暴動が起きたけど、僕はこのデモとW杯は本質的に関係ないと思っている。そもそも今回の一連のデモは、若者にとってゲーム感覚というか、近年起きたフェイスブック革命のような雰囲気もある。主義主張がそれほど強いわけでもなく、単に流行感覚でそのムーブメントに乗っている輩もいるということだ。いざW杯が近づけば、メディアの興味はデモからW杯に移り、とりわけ期間中はトーンダウンすると思うね。

 また、スタジアム建設やインフラ整備の遅れについては、これもブラジル時間と考えてもらいたいね。日本は特に島国だから、多様な価値観や姿勢に過敏に反応するフシがあるけど、世界にはせっかちな国の人もいれば、のんびりしている国の人もいる。

 多種多様な人種、文化と触れ合うのがサッカーの魅力であり、W杯の意義でもあるのだから、報道に踊らされずに待っていてほしい。どんな形であれ、W杯は無事に開催されるよ。