プレゼンの革命か?登場から24年の紙芝居式パワポを葬るのは新感覚のプレゼンツール Preziか
プレゼンソフトといったら、マイロソフトのPowerPointと相場は決まっている。しかし、いま、PowerPointとはまったく異なるコンセプトのプレゼンツールが注目されている。Prezi(プレジ)だ。スライドを順番に切り替えるのではなく、巨大なカンバスのあちこちをズームイン/ズームアウトするという斬新なプレゼンは、一度見たら忘れられないインパクトがある。魅力的なプレゼンを目指すなら、ぜひチェックしてほしい。

●PowerPointはもう古い?
「プレゼンテーション」といったら、紙芝居のようにスライドを1枚ずつ切り替えるのが一般的だ。当然、スライド式のプレゼン用の標準ソフトはマイクロソフトのPowerPointだ。Windows用のPowerPointがはじめてリリースされたのが1990年。以来、約24年間、1枚ずつスライドを切り替えるというプレゼンの基本的なスタイルは、ずっと変わっていない。

ところが、いま、PowerPointとはまったく異なるコンセプトを持つプレゼンツールが注目されている。ハンガリーのベンチャー企業が開発したPrezi(プレジ)だ。Preziの面白さは、見てもらうのが手っ取り早い。次は筆者が約10分で作ったプレゼンデータである。


筆者がPreziを使って約10分で作ったデータ

筆者がPreziを使って約10分で作ったデータ

他にも、誰でも見られるように公開されているPreziのプレゼンデータは多い。たとえば、次はコカコーラ社のPreziで作られたプレゼンデータである。


コカコーラ社のPreziのプレゼンデータ

コカコーラ社のPreziのプレゼンデータ

いずれも、右下の[Fullscreen]ボタンをクリックすると全画面表示され、画面下の左右のボタンで表示を切り替えられる。


フルスクリーンで表示した状態。画面下の左右のボタンで表示を切り替えられる


[Fullscreen]ボタンの左側のボタンで、自動切替の時間を設定できる。

●巨大な1枚のカンバスに配置した情報を順番にズームイン/ズームアウトしてプレゼン
Preziの仕組みはシンプルだ。巨大なカンバスの上に、文字や画像、動画などのプレゼン用のデータを配置する。そして、表示するエリア、順番を指定する。たったこれだけで、自動的にズームイン、ズームアウトが行われ、表示がダイナミックに変化する。

テンプレートも豊富だ。冒頭で筆者が作ったプレゼンも、テンプレートをもとにしている。仕組みさえわかれば、あとはテンプレートをあれこれいじっているだけで、基本的な作り方はマスターできるだろう。


Preziの編集画面。巨大なカンバス上に文字や画像などを配置する。左のいちばん上がカンバス全体、その下が表示する部分を示している



これは表示する順番を編集しているところ


これは表示する順番を編集しているところだ。表示の順番は「パス」と呼ばれ、1、2、3という数字の順番で切り替わる。ダイナミックに表示位置が切り替わり、ズームイン/ズームアウトしながらプレゼンが実行される。


テンプレートも数多く用意されている


テンプレートも数多く用意されている。最初はテンプレートをベースに作ると簡単だ。

●スマホやタブレットでも作成してプレゼンできる
Preziは、基本的にはブラウザだけあれば表示・編集できる。さらに、iPad/iPhone用、Windows/Mac用のアプリも用意されている。後述する有料プランを契約し、本格的に活用するならWindows/Mac用アプリを利用するとよいだろう。なお、iPhone用アプリは表示専用だが、iPad用アプリは簡単な編集も可能となっている。用意されているプランは次の3つだ。

・Public……無料
・Enjoy……$4.92/月(1年 $59)
・Pro……$13.25/月(1年 $159)

無料のPublicだと、作成したデータはすべて公開され、Preziのロゴがつねに表示されるなどの制約もあるが、それ以外は大きな制限はない。まずはPublicでスタートして、必要なら有料プランを検討すればいいだろう。


iPhone用のPreziアプリ


iPhone用のPreziアプリ。編集はできないが、作ったデータをプレゼンすることはできる。iPhoneでも魅力的なプレゼンが可能だ。

●魅力的なプレゼンをしたい人はぜひ試してほしい
IT関係の仕事をしている人、クリエイターのあいだでは、Preziはすでにかなり有名なツールになっている。ただし、一般のビジネスマンには、まだまだ知られていないようだ。

PowerPointを最も活用しているのはビジネスマンだと思うので、ぜひ一度、試してみてほしい。
「もっと魅力的なプレゼンをやってみたい」
「どうも、最近、プレゼンがマンネリ化している」
という皆さんには、きっと効果てきめんだと思う。


井上健語(フリーランスライター)