台湾海巡署船、東シナ海ガス田接近で主権アピール  日本海保船とも遭遇=中央社記者報告

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(台北 27日 中央社)中華民国政府は中国大陸側の一方的な東シナ海防空識別圏の設定の影響を受けることなく、今月17日、台湾・大陸両岸の識別圏重複海域で政府沿岸警備部門と軍の合同による海空連合捜索救援活動訓練を敢行した。

行政院海岸巡防署海岸巡防総局は同日、「丹陽プロジェクト」を発動、中華民国の暫定境界線の北限近くに巡視船の「新北」と「和星」を派遣し定例巡視任務を遂行、中央通訊社の記者もこれに同行取材した。

2000トン級の新北と和星は2月17日午前、基隆港を出発し、3カイリ沖で海軍フリゲートの「康定」と合流、編隊を組み北上。彭佳嶼海域で海上救難訓練を行い、防空識別圏の重複空域ではF-16戦闘機などを発進させ海空軍事訓練を実施した。

翌18日朝6時には基隆港から270カイリの距離にあたる春暁ガス田付近に到達したが、ここで日本・海上保安庁の1000トン級巡視船、「くにさき」に遭遇した。くにさきは和星の右後方に続いて監視を行い、和星もまた後部甲板よりくにさきについて証拠収集を進めた。

双方は6時12分頃、一時0.5カイリまで接近したものの、その後、日本の巡視船は旋回して去っていった。この間、30分ほどだった。また、この日は何度も海上自衛隊の哨戒機や哨戒ヘリが多数出動し、低空飛行で新北と和星の監視を行った。

中国大陸のガス田の春暁、天外天は中華民国の暫定境界線の内側に位置しており、到達したのは中国大陸および日本の防空識別圏とも重なっていた海域。しかし、各訓練は順調に行われ、今回の巡視船派遣により、政府は中華民国の主権と漁業者の権利を守る政策がいかなる情勢の影響も受けないことを誇示した。

新北と和星は軍の待機する海域まで戻ると、海軍護衛の下、19日午前6時に基隆港に帰港した。

(編集:谷口一康)